1993年 アメリカ

リチャードは旧友と、高級娼婦ジェニーと遊ぶ。
昔の話を面白可笑しく話し、次第にリチャードはジェニーに惹かれていく。

リチャードと妻マリアとは結婚14年目を迎える。
お互い飽き飽きしている二人だが、表面的にはいつも通りの生活をしている。
冗談を言い、笑いを取る生活があった。
が、ジェニーと会ったリチャードは、妻マリアに離婚を言い渡す。
『もうたくさんだ!』と…。

そしてその夜、ジェニーと一晩過ごすために、リチャードは家を出てジェニーの所に行く。
先客が居たが彼は諦めない。

ジェニーの『心に入り込んだ』リチャードは、ジェニーの所で一晩過ごす。

マリアは、気分を晴らすために友人たちとディスコに行く。
今までにない音楽や踊りに面喰いながらも、時を過ごす。

そして、そこで青年チャットと出会う。
友人たちは大はしゃぎ。
マリアの家でも踊る。
友人たちが帰った後、チャットはマリアを誘う。

翌朝、チャットが気づくとマリアは大量の睡眠薬を服用していた。
必死になってマリアを救おうとするチャット。
救急車を呼ぼうとするが電話番号が分からない。
台所にあった薬を飲ませ、薬を吐かせ、気がつくまで介護をする。
自由で良いというチャットの言葉がマリアに響く。

一方、ジェニーと一晩過ごしたリチャードは、気分もよくいそいそと家に帰る。
そこには、窓から逃げるチャットの姿があった。

顔、顔、顔、人びとの微妙な心の動きを顔で表す。
真実の心は会話にない。
あるのは、冗談で笑いを取るために作られた話題がある。

楽しく踊り、お酒を飲み、笑い合う。
一見親しげな人たちの中にも、どこか空虚さが漂う。

上流社会で成功し何不自由ない生活を捨ている人々の心模様を巧みに描く名作である。
そしてどこか今の私たちの日常を感じさせるし、何度見ても見させる何かがあるそんな作品でもある。

(J)

「フェイシーズ」 FACES