2012年 ベネティア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリ受賞作品

中国の著しい発展の中、その影のようなところがあるという。

中国西南部 雲南省の海抜3200メートル80戸の家があるシーヤンタン。
中国で一番貧しいと言われる地方に住む3姉妹を描くドキュメンタリー映画作品は、今とは思えぬ生活が繰り広げられている。

母親は家を出て行って、父親は町に働きに行っている。
長女・インイン(英英)は10歳で、二人の妹の面倒を見ている。
三女・フェンフェン(粉粉)は4歳、次女・チェンチェン(珍珍)は6歳だった。

近くに住む伯母の家に行き、家畜の面倒を見る。
豚や鶏、羊やヤギ、馬もいれば飼っている犬や猫もいる。
羊に散歩をさせて、豚のえさを作る。
そんな毎日の繰り返し。

電気の通っていないインインの家では、毎日火を起こす。
家はほとんど何もなく寝床はノミやシラミがいるが、文句は言えない。
インインはフェンフェンのシラミを取る。

父親のスン・ジョンパオが町から帰って来た。
父は二人の妹を連れて、町に働きに出ると言う。
インインは祖父と一緒に暮らすことになるが、一人ぼっちに文句は言えない。

冬になって正月が来れば、父は帰ってくると言うが、そんな気配もなく時間は流れる。

村にはインインと同じような貧しい子どもが居る。
動物の糞を集めて、草木を集める。
学校での勉強をしていると、祖父が勉強ばかりするという。

そんなある日、父は帰ってくる。
出稼ぎを諦めて村で暮らすのだと言う。
二人の妹フェンフェンとチェンチェン、そして子守りの女性と子守りの子が一緒だった。

父親はジャガイモを作る。
インイン姉妹や子守りの女性は川で洗濯をする。
シラミだらけの衣類を洗濯する。

これが21世紀の中国のとある村の生活だとは驚く。

長女インインは父や妹が居なくても、ただ黙々と日々の生活をしている。
泣くわけでもなく、ただ当たり前のその暮らしをする。

お腹の空いたインインが自分でゆでたジャガイモを食べるシーンが出てくる。
寒くて吐く息が白く濁るような中、ただ黙々とジャガイモを食べるシーンが妙に心の残る映画だった。

(J)

「三姉妹 ~雲南の子」