韓国・光州事件として知られている史実を映画化したものである。
光州事件には、民主化のための闘争とか軍への抵抗とか、いろいろな事が言われている。
本当のところはどうだったのか?
1979年12・12クーデターで、権力を握った新軍部勢力は、民主化運動を弾圧するため、非常戒厳令をしいた。
ミヌはタクシーの運転手をしている。
両親を亡くし弟のジヌと二人きりで暮らしている。
ジヌは高校生で成績は優秀だ。
大学入試で主席で合格するように頑張っている。
ジヌは、学校帰りに聖堂へ行く。
そこには、見違えるように美しくなったシネがいた。
看護師をして社会に貢献している。
シネを見初めたミヌは、弟に託けシネをデートに誘う。
そんな生活の中に、突然軍部は現れて、軍に抵抗する大学生や市民を弾圧し始める。
チュンナム大学正門前で、大学生らによる抗議デモがあり、軍に逆らう暴徒として殴る蹴る銃を発砲することが起きる。
死亡者の中には、ジヌの同級生もいた。
同庁前クムナム路にて、自分たちの身近な人々が傷つき殺されることに怒りを抱いた人々が軍への抗議デモを起こす。
ジヌ達高校生・市民・大学生などである。
軍は、そのデモ隊を〝暴徒”とし、発砲しデモ隊に多数の犠牲者がでる。
そして、そのデモに参加していたジヌは、けが人を助けようとして弾に当たり、ミヌは、その弟を必死の思いで助けようとするが亡くなる。
テレビの報道では、軍の死亡者を報道し、市民に死亡者は無いという報道がされていた。
嘆きと怒りが満ち、どうすることも出来ない無力感と無念さが市民の心に突き刺さる。
ただ一人の弟を殺されたミヌは、仲間と協力して軍から武器を奪う。
そして、シネの父親で、元空挺特殊部隊大佐のパク・フンスが動く。
軍から奪った武器で、市民からの志願者で作られた兵士団を結成する。
しかし、市民に勝ち目はない。
市民の抵抗で、一端は光州から撤退した軍だったが、“暴徒たち”を弾圧するために再び光州へと向かう。
期間にして、わずか10日間ぐらいの出来事だった。
海外メディアが事の真相を知り始めて、様々な事情が明るみに出るまでの間の事件だと言う。
映画は、飽くまでも市民の立場に立つ。
“暴徒”などではなく、自分の大切な人や愛する人、そして自分の故郷をを守ろうとしたのだと語る。
そんなに昔のことでもなく、すぐ近くの国での事件でもある。
何が真実かはわからない。
歴史は繰り返されるとも言われているが、本当に歴史は繰り返されるのだろうか。
そして、映画から感じるのは言い知れぬ不安と無力感だった。
(J)