二本の映画を見た。
どちらも世界が終わるかもしれない時に、自分を犠牲にして世界を救う映画だ。
「ザ・サクリファイス」は、カンヌ映画祭で、圧倒的な映像美を絶賛された作品である。
アレクサンデルは自分の誕生日の日に、息子と枯れた一本の木を植える。
そして息子に話をする。
イオハン・コルフは、植えた一本の木に、毎日水をやることを仕事のした。
3年間の間、毎日その木に水をやる。
ある晴れた日、イオハンはその木にたくさんの花が咲いているのを見る。
この話の教訓は決まり事や手順の大切さで、毎日同じことを同じ時刻に同じようにすることだという。
誕生日会の人が家に集まる。
配達人のオットーも来る。
そしてテレビでは核爆弾でが落ちたことを告げる。
まさに、今、世界は終わろうとしている。
どこに行っても状態は変わらないと報道は告げて、そしてテレビも映らなくなる。
オットーは配達人であるが、本職は超常現象の研究だという。
信じられないようなことをいろいろ見聞きしてきたという。
そのオットーが、アレクサンデルに言う。
『教会の傍の家にいるマリアは本当は魔女で、この事態を救えるのは彼女だけだ』と…。
信じがたい話だったが、それ以外に皆を救う方法はない。
マリアの家に行ったアレクサンデルは、『どうか自分を愛して欲しい。
そして、救って欲しい』と頼む。
そして願いは叶い、約束通りにアレクサンデルは、自分を犠牲にした。
もう一方の映画 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、近未来に異生物の侵略を受けた地球が、滅亡の危機に瀕する。
広報担当のウィリアム・ケイジ少佐は、世界連合軍の拠点地ロンドンで、最前線への異動を命じられる。
宇宙からの侵入者の名前はギタイ。
そのギタイと闘うべく戦地に向かうが、その最前線でケイジ少佐はあっという間に死んでしまう。
ところが、死ぬと同時に彼は過去にタイムリープし、気がつくと、再び最前線へ向かう基地の中にいるではないか。
始めは何が何だかわからなかった彼は、何度も何度もタイム・リープしているうちに、戦場の女神と言われるリタ・ヴィラタスキと出会い、自分が最初の戦死の折に受けた、ギタイ・アルファの返り血が、タイム・ループを起こす原因になっていることを告げられる。
何度も繰り返すうちに、ケイジはどんどん強くなっていく。
そしてギタイという生物についての知識もカーター博士から教えられる。
そしてリタを愛するようになる。
彼女や人類を救うべくまた、オメガ・ギタイを殺すために、リタと共に自分を犠牲にして戦うことになる。
「ザ・サクリファイス」は、静かでゆっくりとしたタッチの映画だ。
とても美しい景色の中、まるでモノトーンのようにで心情が語られる。
一方、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、見せる映画でテンポも速いし、息もつかせぬ展開に、眼は画面にくぎ付け状態。
時間が早く早く、あって言う間に流れていく。
同じように地球や人類・人の生き死をテーマに扱っているが、こんなにも違う映画になるなんて、う――ん、信じられない!!
(J)