クーリエ・ジャポン
世界中のメディアから厳選した記事を日本語に翻訳して掲載する月額会員制のウェブメディア。
2005年に隔週刊誌として創刊し、2016年にウェブに移行。
現在の会員は一万人を超える。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストなど米国の有力紙から、仏ル・モンド、独シュピーゲル、西エル・パイスといった英語圏以外の有力メディアの記事まで多様なメディア・ジャンルの記事を掲載。
世界の教養人の記事も多く掲載しており、邦訳書を待たずして最新の論考に触れられることでも評価を得ている。
前書に『新しい世界_世界の賢人16人が語る未来』がある。
新型コロナウィルスのパンデミックは、私たちの社会を大きく変容させた。
ワクチンの接種が進み、以前のような日常が戻ってきたとしても、コロナ禍に起きた変化が社会に深く刻みこまれたのは事実だ。
デジタルシフトが進み、新しい働き方が広がったという側面もあれば、格差がより拡大したという指摘もある。
自宅で過ごす時間が増え、人生観が変わった人もいれば、政府を見る目が変わった人もいるだろう。
……
いまや巨大企業の経済活動に国境は存在しない。
急激に成長し、富を集中させているだけでなく、私たちの生活を大きく規定しているという意味でも、各国政府以上に大きな存在感を有している。
スマートフォンやSNSが登場した頃に漂っていた、テクノロジーが世界をより良いものにする、といった空気は一変し、近年ではその脅威論に触れる機会の方が多い。
本書はじめにより抜粋
TSMCは、1987年に張忠謀(モリス・チャン)が台湾に設立した半導体メーカーで世最大の受託製造企業だ。
2020年の売り上げ高は。5Gスマホ、ノートパソコン、の需要で1兆3392億台湾ドル(約5兆円)。
世界の半導体供給不足と開発競争の続く中、一人勝ちしている企業である。
現在の最先端チップよりも動作速度が最大70%速い3mm(ナノメートル)半導体チップ製造工場を建設している。
半導体の製造能力を実現するためには、桁違いの投資が必要となる。
また、製造拠点が台湾にしかなく、必要に応じてエンジニア同士が柔軟に話しあいサポートしているという。
シリコンバレーでは、ビル・ゲイツらは、クリーンエネルギー技術に投資している。
太陽光発電は、この10年間で80%のコストダウンとなっている。
中国企業が政府の支援を受け、生産規模が急拡大し、2015年には世界で使用されている太陽光パネルの大部分は中国製となった。
世界では、その影響を受け、多くの企業は経営不振や倒産に憂き目にあう。
だが、初期の失敗は、世界の資産家たちの投資意欲を冷え込ませることはなかった。
2015年、ビル・ゲイツはベンチャー投資の流れを変えようと決意した。
ゲイツは、資産家の友人たちのメールを送り、クリーンエネルギー技術に投資する「ブレークスルー・エナジーコアリション(BEC)の設立を呼び掛ける。
2050年までに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロを目指し、グリーン水素から核融合発電まで、さまざまなクリーンテック分野のスタートアップ社数10社に投じられた。
世界中に国境はないという今、巨大企業の資産家たちは、今、どんな動きをしてどの方向へ行こうとしているのか。
私たちの生活に密接に関連する彼らの動きを、さまざまなメディア新聞、また取材などを通じて、一冊の本としてまとめてる。
世界を股に掛けた、規模の大きい話だ。
そして、AIの技術は、さらに私たちの生活を大きく変化させていくだろう。
未来は果てしなく変化する。
そして、自身の未来も変化する。
(J)