桃戸 ハル (ももと・はる)
東京都出身。
あくせくと、執筆や編集にいそしむ毎日。
ぢっと手を見る。
生命線だけが長くてビックリ。
『5分後に意外な結末』『5分後に恋の結末』などを含む、「5分後に意外な結末」シリーズの編著や、『ざんねんな偉人伝 それでも愛すべき人々』『ざんねんな歴史人物 それでも名を残す人々』の編集など。
三度の飯より二度寝が好き。
ショートショートな物語で、超人気のベストを集めた傑作集だ。
確かに、読み始めてから5分後には、その意外な結末にびっくりしながら、十分に楽しめる。
次の作品は、どんな意外なことが起きるのかと、ワクワクする。
あっという間の本読みタイムだった。
ショートショート物語の「食糧問題」は、まるでコロナウィルスを思わせるような書き出しから始まった。
ある一つの疫病によって、人類は滅亡の危機を迎える。
十年前に、ニューヨーク郊外で新種の疫病に罹患した病人があらわれ、かつてないほどの強力な感染力で感染者を拡大させた。
疫病は、人から人に、ワクチンの開発される間もなく超高速で伝染し、たちまち都市を覆い尽した。
陸海空での大量の人の移動を可能にする国際交通ネットワークは、感染者を増やし続けた。
1か月ほどの間に、全世界が疫病に覆われてしまった。
世界の様相が一変し、もはや国が国として存続している意義は失われ国境は失われた。
それから10年たち、かつて東京と呼ばれた場所で重要な会議が開かれた。
食糧問題について話し合うために各エリアのリーダーが集まった。
食糧問題は深刻だった。
年々減り続ける食料に対して、人口は爆発的に増え続けている。
会議では、様々な意見が出されるが、これと言った決め手がない状態だった。
ある者は、食糧増産をとなえ、ある者は食品の食べ残しを失くすことを言う。
さて、この食糧問題の行方はどうなるの?
ウィットに富む話は、ケラケラと思わず声を上げて読んでしまう。
だが、どこか、普段のわたし自身が無意識にしまっている現実を、意外なところから、暴露されているような感じがして、思わず心が唸る。
そんな超人気作品集だ。
(超人気って、とっても良く分るわって感じ!!)
(J)