吉田 たかよし Yoshida Takayoshi
1964年、京都府生まれ。
灘中学、灘高校、東京大学を卒業。
東京大学大学院で生命科学の研究に従事するかたわら、二年連続で国家公務員1首(上級職)経済職試験に合格。
修了後、NHKアナウンサーとして活躍。
その後、元自由民主党幹事長・加藤紘一衆議院議員の公設第一秘書となり、科学技術政策の立案に携わる。
医師免許を取得し、東京大学大学院医学博士課程を修了。
「奇跡のマルチの人間」の異名をとる。
現在、医師の立場から日本健康教育振興協会・理事長として、予防医学の普及活動に取り組む。
一方、青葉メディアケア・クリニックを開設する。
著書に『不可能を可能にする』『脳を活かす!必勝の時間攻略法』『分かりやすい話し方』など多数ある。

「ぐっすり寝た気がしない」「日中、頭がボーとして眠い」など、物事をやるのを妨げる眠さがある。
そのような眠さに対処し、効率的な仕事や勉強をするためには、質の高い睡眠をとり、脳の働きを高めるという方法がある。
本書は、その対応策として、脳のメカニズムを知り、脳の負担が少なく、生活のリズムをつくる睡眠法を紹介している。。

人間は、眠らないとどうなるか。
アメリカのWMGMというラジオ局の人気DJだったピーター・トリップさんは、1959年に200時間以上にわたって(8日と9時間)一切眠ることなく起き続けそうだ。
この「断眠」で、彼の言動は次第に異常なものになり、最後には幻覚・妄想が現れたという。
人体に危険だというので、常に医師が見守る中で、「レコードの上を虫が這っている」「時計が人間の顔をして自分を見つめている」などの発言があったそうだ。
また、264時間断眠した、1964年、当時17歳のランディ・ガードナー少年は、断眠中に脳機能を調べており、3日目より、大幅に記憶力が低下し、極度のイライラが現れ、子どもにでもできるような簡単な計算もできなくなったという。

人間の脳は、高等な部分ほど睡眠不足に弱い。
進化の段階で獲得した脳を分類すると、「爬虫類の脳」である脳幹、下等な哺乳類になって獲得した大脳辺縁系、最後に高等な哺乳類になってから獲得したといわれる大脳新皮質の3つの部分に分けられる。
脳幹は、数日徹夜したくらいでは機能停止になることはない。
徹夜で勉強して病気でないのに呼吸が停止したら大変なことになる。
これに対して大脳新皮質は、睡眠不足に脆弱だという。

「脳力」アップは、色々な作業の能率を上げるために、自分の体内時計であるサーカディアン・リズムを知り、自分にあった睡眠サイクルを見つけることや、太陽の光の刺激を受け、脳をしっかりと起こして、快適な一日を送れるようにすることが必要だという。

本書は、「脳力」を発揮し、快適な生活を送る方法が書かれている。
能率アップだけでなく、心地よい睡眠が欲しいと望む人は、一度読んでみてもいいかもしれない。
そんな知識満載の本でもあった。

(J)

 

「脳力」をのばす!快適睡眠術