宮田 珠己 Miyata Tamaki
兵庫県生まれ。
旅とレジャーのエッセイを中心に執筆活動を続ける。
著書に『ポチ迷路』『ふしぎ盆栽ホンノンボ』『晴れた日は巨大仏を見に』『ウはウミウシのウ~シュノーケル偏愛旅行記』など。
「東南アジア四次元日記」で第3回酒飲み書店員大賞を受賞。

「理由はないが、ときどき発作的にずんずん歩く。
初めての発作は、大阪の千里丘陵に住んでいた頃のこと、突然京都へ行こうと思い立って、朝から歩き出しだした。
淀川に沿ってえんえんと歩いたのである。
10時間以上かけて京都にたどりついたら、足に大きなマメができていた。
何かに挑戦するつもりで歩いているわけではないので、そのまま徒歩で日本縦断したりはしない。
あくまで発作だから、主に日帰りであり、帰りは電車である。
マメなんかできて、そんなつもりじゃなかったのに大迷惑であった。
本文 抜粋

ものぐさだけど、積極的?。
好奇心!!かも知れないが、発作的?な行動。
カヌーに挑戦すれば、本格的に挑戦し、悪戦苦闘の末に、あえなくカヌーには穴があく。
島を一周しようと思えば、海あり崖ありの遭難のような有様になる。
仕事がらみの原発視察では、放射能漏れに出会い、必死覚悟?の脱出を試みた。

とにかく、面白い。
わけもなく発作的に笑い出してしまう。
そんな本である。

いつもまにか、ジェットコースター評論家になってしまった彼(筆者)は、ラジオやテレビに出演する。
色々なジェットコースターに乗れる利点もありながら、誰がよんだか評論家状態である。

本を読みながら、体の緊張が取れていく感じがする。
全身脱力の爽快感は、何気なく描かれた日常的でありながらも、日常的でない体験に、どこか心が共感するのだろうか。
もっと読みたいと思いながらも、読み終わると、もう読めなくなる寂しさを感じさせる、そんな一冊だった。

(J)

「ときどき意味もなくずんずん歩く」