日本からは、遠いイメージのアフリカは、多くの情報を手にすることはほとんどない。
そんなアフリカ大陸を、日本から出発して、アジアを東から西へ1年かけて横断し、それから1年半をアフリカで過ごしたという蔵前さん達の旅行記である。
蔵前さんは1987年に一度アフリカへ行っているようだ。
そして、再度、1991年から約1年半かけてのアフリカ旅行だ。
東南アジアを旅行していた時、アフリカではナミビアが独立し、インドを旅する頃、イラクがクウェートに侵攻した。
イランに行くと、東西ドイツが統一を果たした。
1991年を迎えて間もなく湾岸戦争が始まり、日本政府はペルシャ湾に自衛隊の派遣を決定し、バブルははじけた。
インドではガンジー首相が暗殺され、その後ソ連でクーデターが起こり、ついに、ソビエト連邦は消滅した。
その頃、彼らの旅は2年目を迎えていたという。
トルコのイスタンブールから、アフリカ大陸の北端、チュニジアの首都チュニスからモロッコへ行く。
モロッコの「客引き」はインド並みにすごいらしい。
なかなかあきらめない客引きにうんざりしながら、早々に次のタンジールへ行く。
そうして、アフリカ西部を周り、アルジェリアからサハラ砂漠の旅へと進む。
サハラ砂漠からニジェールの国境のアルリットへ、そこで世界はイスラムから黒人の世界へと変わった。
マリ、ブルキナファソ、コートジボアール、ガーナ、トーゴ、ペニン、そして、ケニア、ウガンダンザニア、ジンバブエ、南アフリカ共和国など、16か国をまわる。
アフリカには50余りの国があり、面積は、日本のおよそ80倍だそうだ。
『アフリカの飢餓』とか『アフリカの貧困』と言われることがあるが、実際にはその言葉とは明らかに違う超近代的なところもあるという。
貧しくないというのではないようだが、当たり前だろうが、この広い面積の国々を、その言葉では語りきれないものがあるという。
紀行書としては、興味津々、独特の面白さがある。
「アフリカってどんな所?」と興味半分で読み始めたが、本当に面白かった。
噂と現実に違いや、その土地による様々な違いが、よどみなく語られるその文章に表われており、空想の中で共にその時間を楽しめる、そんな本だった。
(J)