アートセラピー  art therapy

ryouhou16_1芸術療法。心理療法の一分野。
主として非言語的な表現手段を用いて、心の中にあるものを何らかの形にしていくことで、心理療法を進めていく。用いる表現媒体に応じてさまざまな技法があり、絵画療法、音楽療法、心理劇、箱庭療法、コラージュ療法、造形療法、などがある。
目的としては、

  1. クライエントが言語化できない、あるいは意識化できていない心的内容を目に見える形にして理解を促すこと。
  2. 作品を媒介にして、セラピスト-クライエントの相互の感情交流を促進すること。
  3. 心の中の葛藤や抑圧された感情を、イメージを通じて開放させ、心理的安定感を得させること。

などがある。

絵画療法
心理療法の過程で絵画による自己表現を患者に求め、それをコミュニケーションのためのひとつの媒体として用いる治療的アプローチ。
自由画法と課題画法があり、後者には人物画法・風景構成法など多くの技法がある。

ryouhou16_2風景構成法 The Landscape Montage Technique
1969年精神科医中井久夫が創案。

《具体的施行の手順》

  1. 用意するもの・・・A4版画用紙、黒のサインペン、24色程度のクレヨン
  2. 画用紙の四周を治療者がフリーハンドで枠付けしながら、「今から私の言うものを順に書き込んでいって全体として一つの風景になるようにしてください。上手い下手は関係ありません」と伝え、画用紙とサインペンを手渡す。
  3. 描き手に描こうという姿勢が見られたときに描画アイテムを次の順序で告げる。一つのアイテムが描き終わったら次のアイテムを告げる。1)川、2)山、3)田、4)道、5)家、6)木、7)人、8)花、9)動物、10)石。この順序は定まっている。但し描画拒否はもちろん認める。
  4. 描き終わったら、「直したいところ、付け加えたいと思うものがあったら自由にやって風景を仕上げて下さい」と伝えて素描の完成を見守る。
  5. 素描が終わったら彩色してもらう。どこからどれだけ彩色するのかはまったく自由であることを伝える。
  6. 彩色が終わって完成したら、二人でしばらく作品を眺めてみる。このとき聞いてみたいことがあれば、基本的には何を聞いてもよい。その場の雰囲気を乱さないことに留意することが必要である。
  7. 最後に作品の裏に日付と名前を記してもらう。
心理療法16