交流分析  transactional analysis

ryouhou11_1交流分析(以下、TA)はアメリカの精神科医バーン(Berne,E.)によって1950年代から70年代にかけて創設されたパーソナリティ理論。交流分析は、精神分析の基本理論である構造論、経済論、発達論、適応論を踏襲した。「自我状態」「ストローク」「ゲーム」「脚本」などの概念理論がある。

交流分析の構造論
交流分析の構造論はフェダーンの自我状態理論を取り入れて自我状態および自我境界理論を展開した。しかし、交流分析の自我構造論は、内的な精神装置のみならず観察可能な行動も含むところが特徴である。
自我状態は、「親」(以下Pと略称)、「大人」(以下Aと略称)、および「子ども」(以下Cと略称)の3つの自我状態からなり、3つの円で示される。Pは親・または親代理からとりいれた思考・感情・行動であり、Aは、現実原則に沿っての思考・感情・行動をいう。Cは、幼児期に体験した思考・感情・行動の反応様式を現在再体験している状態である。
P,A,Cの境界が明確な自我状態は健康である。その境界が侵されている場合を「汚染」という。自我状態の「除外」の病理は、PACのいずれかが機能しないパーソナリティである。

ryouhou11_3交流分析の経済論
交流分析の経済論は、自我状態の機能分析と、自我状態間の交流(対人関係)、およびストローク理論を扱う。PACそれぞれのエネルギー量を棒グラフに示すエゴグラムおよびその心理療法が開発されている。コミュニケーションが持続する相補交流、中断する交叉交流、心理ゲームに介在する裏面交流の3つのタイプに分けられる。経済論のもう1つの理論は「ストローク」欲求理論がある。

交流分析の発達論
交流分析では、人は幼児期の親子関係によって人生の道程を示す人生脚本が形成され、それに従って生きていると見る。人生脚本の形成過程を示す脚本母型には、形成に必要な心理的要因が示されている。1.ドライバー 2.禁止令 3.決断 4.プログラムである。禁止令の過酷な状態を克服する手段として、子どもは抑圧等の防衛機制を動員する。その際用いる適応機制が「ドライバー」である。これらは禁止令の否定的なメッセージに対して肯定的であるが、否定的な要素もある。例えば、心臓病因子として「急げ」のドライバーがある。

交流分析の適応論
交流分析の適応論はゲーム理論である。心理ゲームの定義の1つは「一連の相補的裏面交流で、明確で予測可能な結末へといたるもの」である。すなわち、ゲームとは、反復(一連の)する裏面交流で、当事者特有の感情で(結末)終了する。ゲームは、ささいないざこざから殺人、自殺、精神病の発症等にいたるまでの反復強迫的対人関係・対物関係である。神経症・心身症・アルコール依存症、人間関係のトラブルなどはゲームで、セラピストのアプローチは、オリエンテーションによって様々である。

交流分析は療法としては治療者との間で明確な契約を結ぶことを特色とする。契約は次の質問で簡単に答えられるものである。
――あなたは自分のどこを変えたいか――
ryouhou11_2私たちとあなたの両者はあなたが治療を受けに来た目的を達成した時、何によってそれらを知ることができるか?この合意の上で治療が行われる。

心理療法11