アーサー・ミラーの戯曲 「坩堝(るつぼ)」の映画化。
17世紀、アメリカ マサチュウセッツ州 セイラムでの事件で、一人の少女が抱いた恋心が、時の権力を得ようとする者や、魔女狩りという時の流れの中で、最終的に、19人が絞首刑となったという実話である。
夜の闇に隠れて、少女たちは秘かに集まる。
淡い恋心が叶うように、黒人の娘ティテュバを囲む。
その中にアビゲイルも居た。
アビゲイルは元の雇い主でアビゲイルと関係があったと噂のあるジョン・プロクターが好きだった。
熱狂的に踊り祈る少女。
そこに牧師のパリスが現れて大騒ぎになる。
翌日、数人の娘が目を覚まさないという事が起き、その中にはパリスの娘・ベティもいた。
悪魔に魂を売ったと、『悪魔祓い』を依頼したパリスだったが、標的にされたのはティテュバだった。
アビゲイルや少女たちは、自分たちのしたことが分かるのではないかと慄き、思わず嘘をつく。
それ以来、村にやってきた役人たちは、『魔女狩り』と称して、アビゲイルや少女たちの言う村人を捕まる。
土地を持つものや、
普段、村人から尊敬され、聖書を深く信仰する人々もいた。
アビゲイル達の標的となる村人は縛り首になっていく。
ジョンとの仲を引き裂いたと、アビゲイルは、ジョンの妻であるエリザベスを憎んでいた。
そして、エリザベスはアビゲイルを傷つけたと言われ捕まる。
一見、アビゲイルの思い通りになったかのように見えたが…。
自分の無実を信じる人々たちは、祈りの中、殺されていく。
村人たちは、信頼の厚い人々が悪魔付きと言われ、捕まっていくのを見てアビゲイルを恐れて顔も見ないようになる。
自分の思いをどんなことをしても叶えようとしたアビゲイルだったが、妻を助けようとしたジョンが、最後には絞首刑と決まる。
そして、アビゲイルは、牧師の有り金全部を持ち、村から出て行く。
自分のしたことがばれて、それを隠すために次々と嘘をつく。
自分の思い通りにしようとして、とんでもない結果を生みだす。
『こんなことになるとは思わなかった!』とアビゲイルは言う。
『自分はただジョンへの思いを遂げたかっただけなんだ』とも言う。
そういう時代だったんだと言えばそれまでだろう。
自分の思い通りに出来たら、どんなに良いだろうとも夢想する。
自分の思いを貫くとき、現実のある側面で、どこかの誰かを傷つけることもあるのだろうか。
アビゲイルのように!