樹輪 ブログ 年輪
2013年 第63回ベルリン国際映画祭 銀熊賞受賞作品
1987年テキサスの森で大火災が起きた。
43,000エーカーが焼けて、1600家屋、4名が命を落とす。
原因は分かっていないと言う。
アルビンはランスと組んで、その広大な森林地帯に道路修復作業員として働く。
ランスは、アルビンの恋人マディソンの弟だ。
二人は道路に黄色い中央分離帯の線を引く。
毎日毎日、
二人は果てしなく道路に線を引く。
アルビンは堅物で自分の生き方を変えようとはしない。
一方のランスは、女とやることばかり考えている。
アルビンは何時か恋人のマディソンとドイツに行くことを楽しみに、仕事をしながらドイツ語講座を聞く。
が、ランスは眠くなるようなそんなものは聞きたくもないと言う。
二人で話し合って色々なことを決めたが、それでも二人はまるで正反対。
マディソンの事もあるので、アルビンはランスを仲間にしたが、どうもうまくいかない。
ランスは週末の休みに町へ出かけ、女と会うのが楽しみだ。
アルビンはこの広大な自然の中で癒され心を寛がせることが楽しみだ。
生き物は自然と共に生きて、その姿のままで興味深い姿を表わす。
道路を走るトラックの爺さんにお酒を貰ったり、釣った魚を調理して食べる。
そんな暮らしにランスは飽き飽きしている。
週末いそいそと町へ出かけたランスに、アルビンはマディソンへの手紙とお金を託す。
ところが帰ってきてからのランスの様子がおかしい。
アルビンはそんなランスの様子を見て心配し、何があったか聞き出そうとする。
『沈黙を大切に』と、いつもならアルビンがランスに言うセルフが、ランスの口から出る。
そしてアルビンにもマディソンからの別れの手紙でとても平常心では居られなくなる。
沈黙と冷静さ、癒しを求め、自分自身を静かに一人で見つめようとするアルビンと、
踊り、歌い、女と遊ぶことを求めるランス。そんなちぐはぐな二人の関係は、殴り合いつつ、争いつつも、思いやりを抱き、何時しか心を開いていく。
コメディタッチで描かれており、随所に笑える箇所がある。
火事の爪痕が痛ましいくありながら、自然が美しく描かれている。
それだけでも癒しかな。
(J)