「ウェルニッケーコルサコフ症候群」、または、ウェルニッケ脳症と呼ばれる脳障害、記憶障害があります。
この疾患は、慢性アルコール依存症や一酸化炭素中毒、頭部外傷などによって起こり、間脳や乳頭体や第三脳室周辺に病変が見られます。
慢性のアルコール依存症が進むと、食事が貧困になって充分な栄養が摂取できなくなり、チアミンというビタミンB1が不足し、結果グルコースが欠乏し、脳のいたるところで細胞の脱落や萎縮が生じるからです。
コルサコフ症候群とほぼ同じ脳部位を人為的に破壊してしまった例があるそうです。
遊んでいるときにフェンシングの剣が右の鼻孔から左脳に突き抜けて、海馬などにはまったく傷はないものの、左脳の視床背内側核(ししょうはいないそくかく)だけを破壊したそうです。
その後、患者は、覚えるのに非常に多くの時間がかかり、覚えると忘れにくいという特徴をもったそうです。

脳や記憶のメカニズムは、人間で実験することはもちろんできません。
こういう偶然ともいえる事故での脳の損傷で、メカニズムを調べるようですが、記憶といえば「海馬」などと紋きりに覚えると、また違った事実が発見されて、その都度塗りかえられていくようです。

「脳とこころの不思議な関係」という本を読んでいるのですが、何度読んでも、『あれ!こんなこと書いてあったかな?』と思う事実に出会います。
『これも記憶障害?』とほんのちょっぴり、思うながら、奥深い脳の話を興味深く何度でも読んでいる所です。

コルサコフ症候群