ASK〈アルコール薬物問題全国市民協会)という団体がある。
アルコールや薬物など依存症に関連する団体で、飲酒運転撲滅運動などをしている。
そのASKが、出版している本で、機能不全(依存症も含む)の親を持つアダルト・チルドレンに向けての本がある。
「アダルト・チルドレンが自分と向きあう本」だ。
その本のなかで、アダルト・チルドレンに関することがいろいろと書かれている。

5つの役割
●ヒーロー/スーパーチャイルド(優等生/家族の誇り)
「優秀ないい子」「しっかりした子」でいることで、なんとか評価されようとがんばる子。
いわば、家族の期待を一身に背負った子どもの役割。
●スケープゴード(問題児/いけにえ)
家でも学校でも、何かとトラブルを起こし、攻撃的にふるまうことで自分の存在を主張する子。
家族の中にもともとあった問題からみんなの目をそらす役割。
●ロスト・チャイルド(いないふり/忘れられた子/仲間はずれ)
ほめられるわけでもなく、問題を起こすわけでもなく、目立たない子ども。
家でも学校でも、存在を忘れられて、隅っこでそっと息をひそめていることで、緊張した家族関係で傷つけられることから自分を守り、自分だけの空間を確保する。
誰かとつながりたい、でも、自分の殻の中から踏み出すのが怖い。
●クラウン/マスコット/ファミリー・ペット(道化師/甘えっ子)
おどけた態度やかわいいしぐさで家族の緊張をやわらげ、場をなごませる役割。
争いが起こるのを回避し、皆に笑ってもらおうと、いつも気を配る。
●ケアテイカ―/プラケイター(お世話やき/なだめ役)
何かとトラブルの多い家庭の中で、小さいときから親の面倒をみたり、親の起こした問題の後始末をしたり、グチや相談を聞いたり、カウンセラーのような役割を演じる。
妹や弟の保護者役になったりして自分のことはいつも後回しで、ひたすら周囲の役に立とうとする。

子どもが演じた役割は、その子がもともともっていた特質によるが、家族の状況に大きく左右されるようだ。
一つの役割ではなく、複数の役割を演じることもあり、すぐれた特徴でもありながら、本人を苦しませることにもなる。

19歳で初めて好きになった人は、お酒が強かった。
ちょっと心配だったけど、磁石にひかれるみたいにいつもまにか結婚していた。
アルコール依存症の父をずっと面倒みてきて、酒飲みの世話はお手のもの。
気がつくと私は依存症者の妻になっていた。
ぜんまいじかけの人形みたいに子どものときと同じ役割をやっていた。
本文 抜粋

どうしていいのかもわからない。
でも何かおかしい。
そんな不安をいつも抱えて、大きな荷物を背負っているアダルト・チルドレンたちに、ふっと思いを馳せた。

「アダルト・チャイルドが自分と向きあう本」より