ベルリン映画祭
銀熊賞・審査員特別賞/新人男優賞 W受賞作品
17歳のグイは農村出身者である。
農村は貧しく、希望を抱いて都会で仕事に就く。
グイは、北京で自転車宅配の仕事に就く。
一人一台の高級自転車は、働き次第でグイの物になる。
給料もグイ次第で高くなるようだ。
グイは一生懸命に働く。
目標は自転車を自分のものにすることである。
そんなある日、いつものように宅急便の品物を受け取りに行った先で、手違いがあり、時間を取られる。
どうにか無事に品物を受け取ったグイは、その品物を先方に届けようとする。
が、自転車が置いたところにない。
必死に探すグイだが、夜になっても自転車は出てこない。
しかも、宅急便の荷物はそのまま。
大急ぎで走って荷物を届けるが間に合わない。
やっとの思いで自分の自転車になったのに…。
翌日 仕事先に、自転車を失くしたことを伝えるが、仕事のミスで首になりそうになる。
自転車を探し出すことを条件に首を免れたグイだったが…。
北京の自転車の数は多い。
来る日も来る日も自転車を探すグイ。
17歳のジェンは高校生。
家はとても貧乏で父親との約束の自転車も未だに買ってもらってない。
今度の給料には自転車を買うと約束する父親だったが…。
そのジェンは、素敵な自転車を乗り回す。
学校の友だちにも部品の交換などを助けてもらいながら自転車に乗る。
そして、ジェンには気になる女の子がいた。
自転車を探し回るグイは、ついに自分の自転車を探し出す。
その持ち主は高校生のジェンだった。
一度は自転車を手にするが、ジェンや友だちの手で自転車はジェンの手に戻る。
グイはジェンの家に出向く。
ジェンは家のお金を持ちだして自転車を買ったと言う。
ジェンの父親は怒り、自転車は再びグイの元に戻る。
ジェンとその友達はグイと話し合うことを決める。
解決策は、一日おきにグイとジェンとで自転車を乗ること。
二人はその約束を守り、一日おきに自転車を乗る。
一台の自転車をめぐり、ストーリーは続く。
グイが都会の仕事に要領を得ず、うろうろしながらも必至で働く。
言葉数も少なく、ただ働く。
その彼が自分のものにした自転車は、長年の父親との約束が守られないことへの怒りや悲しみを持つジェンの元に行きつく。
少し、拗ねた感じのジェンは、仲間と共に楽しむ。
二人とも どちらも悪くない。
悪いのは盗んで売りさばいた奴だと、二人とも理解はするが現実は譲れない。
〝もう一台、自転車が欲しい!!!
そうすれば何もかも解決するのに。”
と、見ながら思う。
二人の取った解決策はユニークで、交代で乗ること。
〝成程、そういうことも出来るか・・・!!”と思いきや、最後はまたもや悲惨な結果になってしまう。
何とも言えない悲しいようハラハラするようなそんな映画だった。
17歳の若さが溢れる秀作である。
(J)