1950年作
アカデミー賞 作品賞・助演男優賞・監督賞・脚色賞・衣装デザイン賞・録音賞受賞作品
不朽の名作としても知られているこの作品。
今見ても、面白く興味深い。
人間の欲望とは何か?
自分の目標となることを、達成することとは…人間の幸せとは何かを問いかけているように思う。
映画は、イブ・ハリントンの授賞式から始まる。
いつも謙虚で感謝を忘れないイブの評判はとても良い。
そして、そのイブの授賞式から数か月前に、初めてイブがマーゴ・チャニングに出会った時の回想場面へと、画面は変わる。
マーゴ・チャニングは、大女優で、その演技力は定評があった。
マーゴのファンとして劇場の裏でいつも待つイブは、マーゴの友人に連れられてマーゴに出会う。
一人のファンとしてマーゴはイブに興味を抱き、自分の悲しい過去を語る。
夫との死別や身の上の話。
『こんなつまらない話…』と言いながら、イブは周りの関心を集めて、そして、マーゴの付き人として住み込むようになる。
良く気が利き、抜かりなく働くイブの評判はなかなかのものであった。
しかし、余りに気がつくイブの言動に不信を抱くようになったマーゴは、少しづつ、イブを遠ざけるようになる。
が…。
マーゴの代役を手にしたイブは、絶賛を浴び、自分も女優としての道が開けていく。
一方マーゴは、今の自分にいろいろな疑問を抱くようになっていた。
このままで本当に自分は幸せなのか?
女優として名声も地位もある。
だが、恋人は女優としての自分を愛しているのか、マーゴ自身を愛しているのか。
そんなマーゴを傍に、イブは確実に自分の地位を築いていく。
目的のためには、平気で嘘もつくし、人の優しさも利用する。
必要ならば脅しもするし、他人の夫であろうが、恋人であろうが手に入れる。
マーゴは、恋人との結婚を機に、家庭にも時間を割くようになり、本来ならマーゴの仕事であった仕事を自分のものにする。
あくまでも謙虚で、周りへの感謝の言葉を忘れずに…。
映画の最後に授賞式から帰って部屋に戻るイブの姿がある。
自分の欲しいものを手に入れ、本来なら幸せなはずの彼女が其処に居るはずなのに、疲れ果てて見えるのは、私の目がオカシイ…?のかな。
(J)