アカデミー賞 5部門(撮影賞・美術賞・録音賞・音響編集賞・視覚効果賞)受賞
ゴールデン・グローブ賞 監督賞受賞 作品

1930年代フランス・パリでの出来事。
パリの駅の構内に住む少年ヒューゴ・カブレは孤児。
駅で時計の管理をしているクロードおじさんが唯一の身内であった。
飲んだくれのクロードおじさんは、時計職人であったヒューゴの父親が火事で死んだあと、彼を引き取り、ヒューゴは駅で暮らすようになる。

時計の隙間から見える駅の構内は、様々なものが見える。
楽器の演奏に合わせて、華やかに踊る人々。
ムッシュ・フリックは、老年の夫人に声をかけている。
鉄道公安員のギュスターヴは、戦争で足を失くし義足である。
孤児院で育った彼は、犬のマキシミリアンを助手に毎日駅構内の警備をしている。
彼は、花屋の娘のリゼットに恋してる。
しかし、声を掛けられずにいた。

父親の残したものの中に、精巧な“機械人形”があった。
ぜんまい仕掛けで胸にハートの鍵がある。
博物館の屋根裏部屋で、父が見つけたものであった。

壊れているその“機械人形”をヒューゴは直そうとする。
駅の構内にある店から部品を盗すもうとして店主のジョルジュに見つかる。
詰問されたヒューゴは、父親の形見でもある“機械人形”のことが記されている手帳をジョルジュに手渡すことになる。
そして、その手帳を見たジョルジュは、不可解な反応をする。
また、鉄道公安官のギュスターヴがヒューゴに気づき、あわや捕まりそうになったりもする。

駅の窓からの景色はパリの街を美しく光り輝いている。
ヒューゴは、自らの行くべきものを探す。

父のノートを取り返すため、彼はジョルジュを付きまとう。
ジョルジュの家で少女イザベルに出会い、ノートを取り返したいことを告げる。

冒険を求めるイザベルは、ヒューゴを手伝うことを約束する。
秘密好きのイザベルは、ヒューゴの“機械人形”を知り、自分の持っているハート型の鍵を見せる。
その鍵は、“機械人形”にぴったりと合い、人形は動きだし、そして一枚の絵を描く。

名づけ親でもあるパパ・ジョルジュとママ・ジャンヌの秘密を知るべく、イザベルとヒューゴは図書館に行き、古い昔の映画の歴史を調べる。
其処には、若きパパ・ジョルジュがいた。
彼は、かつて手品師でもあり、有名な映画監督でもあった。
そして、映画を通じて「夢の開発」をしようとしていたことを知る。
映画の本の著者の協力で、今はもう無くなっていたと思われていたジョルジュの映画作品を見つけたヒューゴとイザベルは、ママ・ジャンヌにその映画を見せるように手配する。

不思議な不思議な物語。
父親を亡くしたヒューゴは、絶望しながらも、自分の未来を信じて暮らす。
どうなるのかも全く分からぬまま、それでも、今やるべきことをする。

すべてのことが、まるで符号が合う如く、展開していく。
実際の生活の厳しく、また厳格でもある側面を描きながらも、人間としての素朴で素直な優しさにも触れる。
映画を見ながら、心に素敵な情緒が溢れる作品になっている。

両親を亡くしたヒューゴの心の叫びが、痛々しく心に浸みる。
と共に、逞しく懸命に生きる彼に惹きつけられるように映画は終わった。

(J)

「ヒューゴ」 ヒューゴの不思議な発明