劇場未公開映画
2010年 ベネズエラ
ベネズエラの映画とは珍しい!
主役は、サッカー選手になろうとする二人の兄弟。
フリオとダニエルは、ベネズエラ・カラカスのスラムに暮らす。
ダニエルは捨て子だった。
赤ちゃんの時にフリオの母親に拾われた。
貧しいながらも、幸せに暮らす3人だった。
フリオとダニエルの二人は、天才的なサッカープレーヤーの資質を持っていた。
フリオはフィジカルに長けたリーダー。
しかし生活の為にストリートギャングの手先にもなる。
一方、ダニエルは内気で、身体もがりがりだが、サッカーのテクニックに優れたストライカーで、得点率が高い。
そんな二人は、サッカーの監督のススメでプロサッカー選手になるためのテストを受ける事になる。
それは、殺人に充ち溢れる、このスラムから抜け出すことでもあった。
そんな折に、いじめられているダニエルを助けようとした友だちの放った流れ弾が母親に当たり彼女は死ぬ。
サッカーのテストを前に二人は動揺し、そして嘆く。
ダニエルは、怒り狂うフリオに共にサッカーのテストを受けるようにと勧める。
またそれは、母の願いでもあるという。
そんなチャンスを棒にしても、フリオは母親を殺した犯人を見つけようとする。
一方、ダニエルは、母親を撃った犯人を知りながらも、フリオには何も言わず、ただサッカーに打ち込もうとする。
テスト当日、フリオは、途中で帰ってしまい、ダニエルにプロへの道が開かれようとする。
だが、二人で共にサッカーをすることを望むダニエルは、地域でのサッカーの試合にすべてを賭ける。
リードされながらも、反撃を繰り返し、チームは勝つ。
そして、プロへの道が開かれようとしたその時…。
その後、サッカー場にベネズエラの国旗がはためく。
そして、そこにはフリオの姿があった。
貧困が暴力を招き、そこには、余りにも厳しい現実が待ちかまえおり、悲劇は繰り返される。
それでも、人々はそこで暮らし、微笑み、いたわり合う。
スラムを描く映画が多く出回るようになり、普段の自分の生活からは想像もできない現実が、垣間見られるようになった。
今の自分の幸せと、その映像の世界の余りの違いに、思わず絶句することが多いが、そこに暮らす人々の情愛は、貧しいからと言ってなんら変わらずにある現実は、悲しみと喜びを同時にもたらす。
より多くの人に幸あれ!
(J)