小さなころから木星に魅せられた一人の少女が居た。
17歳の時、MITに合格。
何でもできるような、そんな気分だった。

そんなある日、北極星の傍に、地球にそっくりな青い星が姿を現す。
その星を眺めていたその少女は、うかつにも、運酒運転で事故を起こす。

4年後、刑期を終えた少女は家に戻る。
自分の軽率さと罪の深さに深い心の傷を残したままで・・・。

その少女の名は、ローダ・ウィリアムズ。
事故で唯一生き残ったのは、エール大学教授のジョン・バローズ教授一人だった。
彼は、妊娠中の妻と子供を事故で失くし、犯人への恨みの中で自暴自棄な生活をしていた。

人生は驚きの連続です。
生物のミクロの世界に驚嘆し、宇宙の広さに圧倒される。
かつては夜空、今はその外を見ている。
ですが、最大の謎は、そのどちらでもなく恐らくわれわれ自身です。
自分を知ることは可能か?
自分に何を伝え、
自分から何を学ぶのか?
自分を外側から見た時に、
我々は何を見たいのか?
本当は?

地球とそっくりな星と交信が取れる。
どうやら、向こうの星にも地球と全く同じ人が住んでいるようである。
この星へと移住する人が公募される。
向こうの星には、自分とそっくりな“もう一人の自分”が居るのだろうか?

ジョンを見つけ出したローダは、掃除婦を名乗り、彼の家を掃除し、彼を幸せを祈る。
その行為は、『自分の罪悪感のため?』少しずつ元気を取り戻していくジョン。

地球とそっくりの星への移住に公募するローダである。
『何のために、この星へ行く?
自分の罪や罪悪感から逃れるため?』

親しくなっていく二人。
この星への移住にローダは受かり、その事をジョンに告げると同時に、ローダは、彼の家族を殺したのは自分であることを告げる。

“割れた鏡”説が浮上。
130億年以上の歴史のある地球ともう一つの地球。
そして、この星が現れた時から、二つの星はシンクロしなくなっているという説がでる。

その話を聞いたローダは、星への移住権をジョンに譲る。
向こうの星にいるかもしれない彼の家族を求めてである。

訓練の後、ジョンは旅立つ。
そしてその4か月後、ローダは自分に出会う。

“いったい何が変わった?”

サンダンス映画賞 2部門受賞作品、どうやら日本でのロードショウ公開は無いようです。
なかなかの秀作品です。
設定が面白い。
地球とそっくりの星と絡めて、ある事故の加害者と被害者の心模様が描かれています。

ふとした心の軽さから、消えることがないであろう罪悪感を持つローザ。

彼女が掃除婦として働く中で、同じ掃除係りとして出会う老人が出てきますが、罪悪感から自分の目や耳を漂白剤で聞こえなくさせる老人の話が出てきます。
似たような心の傷を持ちながら、お互いに心を通わせる、ジーンとくるシーンでもありました。

(J)

「アナザー・プラネット」 ANOTHER EARTH