ジョーイ・フリスクは、 “笑いの帝王”。
今日も、舞台から、マイク片手に客たちを笑わせる。
ストーリーは、自分の事。
今は、酒と薬の手放せないジョーイは、12歳の時、学校に放火し、
在学一年で少年院に行く。
そして、笑いで自分の身を守ることを覚える。
ある日、士官学校の同級生というフランク・アーチャーと出会う。
親しげに、ジョーイに話しかけるフランクに違和感を覚えながらも、家賃の滞納で行くところのないジョーイにフランクは、部屋を提供する。
家主を暴行した罪で警察に逮捕されたジョーイ。
自業自得と認めながらも・・・。
学校の放火の時のように、酔っていてよくわからない。
フランクの誘いに応じたジョーイは、認知症で過去がよくわからない
ジョナサン・メンドリックという老人に会う。
メンドリックを誘拐したアーチャーは、かつての学校へと向かう。
学校時代に、多くの級友が、メンドリックにレイプされていたことや、放火の真実を聞く。
「自分は、人を殺す戦争が嫌だった。音楽を愛した。ダンスを愛した。」
メンドリックを殴るフランク。
ジョーイは言う。
「メンドリックは、今はただの老人。今更、それをどうするっていうんだ。」
「俺たちは、汚れのない子供だった。
彼と違い、君は苦しんだ。どうしろというんだ!
お前を恨めってか?」
過去を過去の事にするには、時間がかかることもある。
この映画のように、自分を責め続け、過去に囚われ続けるフランクのような場合もあるだろう。
また、ジョーイのように、過去の記憶を消してしまうこともあるだろう。
サスペンスタッチで描くこの映画。
最後まで目が離せない。
見事であると同時に、過去のトラウマに向かう人の心の闇を、登場人物を通じて見せてくれる。
メンドリックが言う。
「君たちを愛していた」 と・・・。
(J)