2011年制作
第61回ベルリン国際映画祭 銀熊賞受賞作品
独裁政治家のブエノスアイレス、7歳の少女セシリアは、風吹きすさぶ海辺を、ローラースケートを履きながら一人歩く。
セシリアの家は海辺にある荒れた家で、母親と二人で住む。
『パパはカーテンを売っている。
ママは主婦』と人に言うように母親から言われている。
〝『悲観論者』って何?”というセシリアの質問に母は答えようとはしない。
セシリアは家に帰りたい。
パパの所に帰りたい。
学校に通い出したセシリアに、友達が出来た。
でも、友だちの質問にもセシリアは答えられない。
ただ、『パパはカーテンを売っている。ママは主婦』と言う。
セシリアにもわからない。
どう答えていいのかもわからなかった。
母から『逃げているのだ』と言われても、セシリアにはそのことがどういうことかがわからない。
でも、学校は楽しい。
そんなある日、軍の関係者が来て作文を書くことになる。
軍のコンテストで、軍を賛美し国旗を描く。
その作文で、セシリアはいとこが軍に殺されたことを書く。
母親から誰にも言ってはいけないと言われていたが、書くことと話すことは違う。
セシリア親子は、軍から逃れてこの家に辿り着いた。
見つかると捕まる。
この作文は命取りにもなりかねない。
慌てた母親は逃げることを考えるが、学校の先生の配慮でどうにか助かる。
が、書き直した作文が軍から最優秀賞をもらうことになってしまう。
”秘密”と〝嘘”がもたらすモノは何?
軍事下のブエノスアイレスで、無邪気に人から認められることを求める7歳のセシリアと、逃げ惑い、身近な人が殺されていく。
その母親の悲しみと戸惑いと怒りが交差する心理が、微妙に食い違っていく。
その気持ちのありさま
見事に描く。
(J)