1999年 中国

中国 河北省
テェンニンパオ村にある水泉学校に、介護のために休職したカオ先生の代わりに1か月間、教員としてきた13歳の少女ウェイは、山村で貧しい村で、1年生から4年生までの28人の生徒を受け持つことになる。
給料は50元(日本円で1元は約15円程度)である。

すでに10人が学校を辞めていて、これ以上生徒を減らすことが出来ない。
貧しい地域では、家計を助けるために、子どもが出稼ぎに出ることはままあることだ。

生徒たちは、自分たちとさほど年の違わぬウェイ先生の言うことを聞かない。
だが、気のきついウェイは、頑固なまでに生徒にいう事をきかせる。

そんな生徒の中でもホエクーは腕白者で、ウェイの手を焼かせた。

そんなある日、一人の生徒が町の学校に転校することになる。
生徒の数を減らしては大変と、ウェイ先生は必死の抵抗するが、村長はそんなウェイの意見を無視して転校させてしまう。

もうこれ以上生徒は減らせない。

ところがそれからしばらくして、ホエクーの姿が見えなくなる。
家の者が彼を連れて帰った言う。
ウェイ先生はホエクーの家に行き、事情を聞くと、病気の母親がいて父親が死んで借金がある。
出稼ぎをしてその借金の返済をしなくてはいけないのだと言う。
村長の所に行き、ホエクーを迎えに行きたいと伝えるが、村長は耳を貸そうともしない。

そこでウェイ先生は、〝どうしたらホエクーを連れ戻すことが出来るか!”
と、生徒たちと知恵を絞る。
皆で慣れない計算をする。
自分たちで出来ることは何かを考える。
小さい子も大きい子も考える。

町までのバス賃を計算し、
皆で煉瓦を運ぶが、
とてもじゃないが町までの運賃にも届かない。
生徒たちの案は、
バスに無理やり乗りこんで出発することだった。

小さな代用教師ウェイが、必死で自分の生徒を連れ戻そうとする。
手元のお金はわずかしかない。

手がかりの住所の先にはホクエーは居ない。
飲まず食わずのホクエー探しが始まる。

ラジオで放送してもらうが連絡はない。
お金を全部はたいて書いた探し人のポスターは役に立たない。
もう手元にお金はない。

ついに、ウェイ先生はテレビで放送してもらうことに決めるが、受付でにべもなく断られる。
が、そんなことでめげるウェイではない。
門に立ち、出て来る人々に〝局長さん”かどうかを確かめる。
そのことを聞き知った所長はウェイ先生に事情を聞く。

テレビで『ホエクーをとても心配している』ことや、
村の小学校の事情が放送される。
テレビの反響は凄い。
やっとのことでホエクーを見つけ出したウェイ先生は、寄付金や寄付された文房具と共に村に帰る。

一途な思いが動かすモノは、人の心の温かさ思いか。
路頭に迷ったホエクーは、露店の人々から食べ物を貰って飢えを凌いでいた。
その心を忘れることはないとホエクーは言う。

たった一つの饅頭も、一生の貴重な美しい思いでとして、心の中で生き続けるのだろう。
ハラハラしながらも心温まる映画だった。

(J)

「あの子を探して」