アメリカ・ブルックリンの出身のラッパーで、1997年に射殺されたビギー・ビッグの映画。
本名はクリストファー・ウォレス。
幼い頃は、母親の影響で真面目なこどもだったクリスだが、〝人生はくさったゲーム”と考えるようになる。
そして、〝いい子”を止め、お金を稼ぐことに目覚める。
母の目の前ではまじめにするが、外でドラッグ・ディーラーをやるようになり、売上金に溺れるようになる。
また、ストリートラッパーとしても名前を売る。
事実がばれて、母親には勘当されるが、稼ぐ方が大事と考える。
すべてはお金を稼ぐためだった。
警察に捕まり投獄も経験する。
周りの助言で売人を止めるように言われるが、お金のためにとやり続けた。
が、再度捕まりラッパーとして生きることを決心する。
クリスにはジャンという女性との間に、ティアナという名の女の子がいた。
生活をするのはお金がいる。
そのためでもあった。
その後、名前は売れだしすべては順調に動き出す。
人気も出て来て、ラップの世界のトップへと躍り出る。
また、キムという女性とも関係を持つが、出会って3週間しか経たないフェイスと結婚する。
様々な人の気持ちを語る彼の音楽は、人の心をつかむ。
が、トゥパックの暴行事件が起き、猜疑心に駆られたトゥバックがビッグに疑いを持つ。
そしてすべての歯車が狂いだす。
スキャンダルが飛び交い、東と西のラッパーの間での抗争が始まる。
マスコミは面白おかしく書きたて、不快感で苛立つ彼に、様々な追い討ちが放たれる。
いつかこの東西のケンカは終わると信じるが、心の中でいつも死を予感する気持ちがあった。
カリフォルニアで、2枚目のアルバムを出すためのコンサートを終わり、成功で心躍らせながら、その帰りの車の中で、銃弾に倒れる。
父親を知らず、黒人として貧しい生活を強いられたクリスは、多くの友人と彼の歌を心の支えにする人たちの囲まれ、天性の才能を開かせる。
24歳でこの世を去ったクリスの人生は、短くそして華やかなものだったようだ。
小さい頃、〝不細工で太っている”と周りから言われ、それでも自分を信じ、夢を叶えた。
映画のシーンで出て来るラップ・シーンは、本物のコンサートをそっくり真似て作られている。
人の感動に巻き込むそのシーンは、カリスマのエネルギーそのものであった。
(J)