2013年 フランス・イタリア
第66回 カンヌ国際映画祭 女優賞受賞

イランから、フランスの空港に降り立つアーマドは、今は共に暮らしていないマリーに出迎えられる。
5年前から別れて暮らすようになった二人だが、マリーと暮らす二人の子ども達に、アーマドの評判は良い。

空港から長女リュシーを迎えに学校へと向かうが、リュシーは居ない。
最近リュシーとの仲が良くないことをマリーから聞き、リュシーに話を聞き出してほしいと頼まれる。
アーマドは、ホテルの泊まる予定だったが、ホテルの予約はされていない。
元の家に帰ると自分の本や物は物置へと片づけられていた。
そして、マリーが再婚を考えていることを聞かされる。

再婚相手のサミールは、クリーニング屋を営む。
男の子が一人居て、
しかも自殺未遂をして、病院で昏睡状態の妻がいるらしい事が分かる。
マリーとサミールは子供たちと共に二人の暮らしを始めている。
しかもマリーはサミールの子どもを宿していた。
やさしくリュシーから話を聞き出すアーマドは、サミールの妻の自殺の原因が、クリーニング店の客との争いではなく、リュシーが妻にあてて出した、二人のメールのやり取りが原因ではないかということを聞き出す。

アーマドが戻って来たことがきっかけになり、マリーとサミール・リュシーの関係が微妙に変化していく。
サミールの妻の自殺に関しての色々な事実が明るみに出てくる。

真実は何か?

誰が誰に、何がどういう風に、疑心暗鬼の中、思わぬ関係の変化が出てくる。
微妙に食い違う言い分と主張は、親密であろうとし、自分にとって大切で、そして、関心のある人だけに心も動く。

人間の心の中に潜む闇の部分を浮き彫りにし、それをサスペンス仕立てに繰り広げる。
誰の心にもあるその部分は、決して心地よいものではないが、ある種の潔さがそこにはある。

なかなか結論の読めない映画だった。

(J)

「ある過去の行方」