1943年東京都生まれ。
中学時代から探偵小説、ハードボイルド小説を書きはじめ、’80年「暗殺者グラナダに死す」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。
’86~’87年、ギターとスペイン内戦を扱った本作『カディスの赤い星』で第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞をトリプル受賞。
著書には、現在7冊まで刊行されている「近藤重蔵シリーズ」「イベリアシリーズ」「長谷川平蔵シリーズ」、映像化されて話題となった「百舌シリーズ」など多数。
1975年、フリーのPRマン・漆田亮は、PRの仕事先の得意先である日野楽器から仕事を頼まれていた。
日野楽器では、スペインの有名なギター製作家のホセ・ラモスが孫娘であるフローラを伴って日本で1年間の仕事の契約していた。
そして、日本にやって来たラモスから出てきた話は、20年前にスペインで日本のギタ―リスト・サントスを探してほしいということだった。
当時スペインでは、フランコ総統が独裁政治を行っており、そのフランコ総統に対してテロリスト達の動きが騒がしくなっていた。
フランコ総統は、捉まえた左翼派たちを次々と死刑にしており、他国からも批判を受けていた。
サントス探しに奔走する漆田だが、やがてラモスの孫娘フローラの日本での動きから日本の過激派グループや、さまざまな出来事に巻き込まれていくことになる。
サントスとダイヤが埋め込まれているギター「カディスの赤い星」を追って繰り広げられる物語は、後半では舞台をスペインに移す。
日本とは政治も文化も違う異国・スペインの保守と革命の狭間で、漆田は、与えられた役目を果たすことになる。
ハードボイルド小説が、直木賞を受賞。
『どんな本なんだろう?』って興味津々で読む。
上下2冊でそれなりの分量だけど、読み出したらストーリー展開が面白くて一気読みだ。
スペイン内乱と革命派や政府軍のことやら、興味深く読む。
騙しだまされて?、貴重なダイヤが隠されているギターが捲るめく人々の手に渡る。
人間の欲望の果てしなさや、目的のために手段を選ばないやり方にハラハラドキドキしながらも、どこかで漆田さんが上手くやるだろうと安心感もあった。
心理分析物とは一味違う逢坂小説も、楽しみながら時間を過ごす。
(J)