森川 早苗  著

広島で、「えな・ヒューマンサポート」の代表としてまた、臨床心理士・家族心理士としても活躍する森川さんのブログが一冊の本になりました。

アサーション・トレーナーでもある森川さん。
彼女の視点での様々なブログ、興味深く読み、また、本を紹介したいと思います。

家族の力とタッチ・ストローク
「志村動物園」という番組で、「動物と話せる女性ハイジ」のコーナーがあります。
今回「5歳のチワワ(あずき)が脳の病気で植物状態となり、家族のことも全く分からなくなってしまった。
何をしてあげたら喜ぶのか知りたいという依頼で、ハイジがその家を訪ねました。
「あずき」はベビーベッドに寝たきりで、声をかけても、眼球も動かないし、何の反応もなく、時々痙攣が起きるだけです。
ハイジは「この子は目が見えていませんね。
聞こえてもいません。
でも意識はあります。」と伝えます。
「家族がそばに来た気配や触れられた感触でわかっているのです」と聞いて、家族はホッとした様子です。
病気が悪化することを恐れて、抱くことを控えていた娘さんは、「抱きしめて欲しいのだ」と知って、久しぶりに抱きしめます。
ハイジは「この子は今すごく幸せを感じているわ」と言い、お父さんもお母さんも涙を流します。
「あずき」をベッドに戻すと、突然首を持ち上げようとし始めました。
そして足が走っているように動き始めたのです。
この「あずき」は、妹として可愛がられてきました。
家族の一員なので、安楽死させることは考えられず、世話をし続けてきました。
家族は、「あずき」が自分たちを認識していると知ることが出来たのです。
抱きしめること、触れること=タッチ・ストロークの大きな力を感じた場面でもありました。
生きるエネルギーなのですね。
本文 抜粋

生きていくうえで、人は様々なストロークを必要としています。
「あずき」の話、本当に凄いですね。

判断を人に任す
韓国の地下鉄火災で200名近くが亡くなった事件を検証したテレビ番組を見ました。
逃げられるのに逃げずに亡くなったひとがたくさんいたらしいのです。
部屋に煙が入ってくると、人はどのくらいの時間で部屋をでていくかという心理実験です。
一人でいる時、部屋に煙が入ってくると、皆すぐに、部屋を出て行ってしまいます。
しかし、5人のうち4人がサクラで平気にしていると、煙に気づいていても、ずっと居続けてしまうのです。
「みんながいるので大丈夫だと思った」という被験者。
こういうことが地下鉄の死亡事故でもおこったのではないかと考えられているそうです。
「周りを気にしすぎると、死ぬことすらある」と番組では言っていました。
一人なら判断できるのに、「みながいるから大丈夫」と人に判断を任せてしまうと、命にすらかかわるのです。
怖いですね。
本文 抜粋

なるほどね!
人と協調することと、自分の意見を持ち、自分で判断する事とは、決して相反することではないですもんね。
合わせ過ぎて自分がわからなくなることもあるし、本当にアサーション的な人間関係が今、求められているのかも、とか思いながら読みました。
猫の写真が各ページにあり、
足跡付の本の装丁。
本の一部紹介しました。

(J)

 

「ニャンたることぞ」 -人生いろいろな猫もいろいろー