外山 滋比古 著
人間の発達や成長と思考の整理は密接な関係がある。
2008年の大学生協の調べで東大・京大で一番読まれた本がこの本らしい。
コンピューターが日常の生活にあたり前のように利用されるようになり、
本来、人間の賢さのひとつの標準であった“記憶力”がパソコンにその座を譲った。
どう足掻いても、勝ちそうにない。
そうすると、人間の賢さの基準はどうなるのだろう。
「知恵」
本に書いていない知識というものがある。
ただ、すこし教育を受けた人間は、そのことを忘れて何でも本に書いてあると思いがちだ。
本に書いてなくて有用なこと、生活の中で見つけ出すまでは、だれも教えてくれない知識がどれくらいあるかもしれない。
物事を思考するには、一定の知識とそのことを整理し処理するために行うことがあるようだ。
「情報の “メタ”化」
整理、抽象化を高めることによって、高度の思考となる。
普遍性も大きくなる。
「抽象のハシゴをおりろ」と命じたのは、一般意味論である。
誤解の多いコミュニケーションを救うには、抽象のハシゴをおりて、二次的、三次的情報を一次的情報に還元するのが有効である。
しかし、これが文化の方向とは逆行するのもまた事実である。
人知の発達は、情報のメタ化と平行してきた。
抽象のハシゴを登ることを怖れては社会の発達はあり得ない。
思考や知識の整理というと、重要なものを残し、そうでないものを、廃棄することを想像しがちである。・・・・・・・
本当の整理はそういうものではない。
第一次的思考をより高い抽象性へ高める質的変化である。
本文 抜粋
それ以外にも、いろいろな思考の整理法が紹介されている。
※スクラップ
※カード・ノート
※つんどく法
※手帖とノート
※メタノート
※とにかく書く
※しゃべる
そして、寝させる。
「寝かせる」
イギリス十九世紀の小説家にウォルター・スコットという人がいる。
すぐれた歴史小説を書いて、文学史上、有名である。
このスコットは寝て考えるタイプであったようだ。
やっかいな問題が起こる。
どうしたらいいだろう、などという話になると、彼はきまってこう言ったものだ、という。
「くよくよすることはないさ。明日の朝、七時には解決しているよ。」
本文 抜粋
睡眠学習かな?
(J)