カウンセリングルーム樹輪でおこなわれているセラピーやカウンセリングなどで使われる心理学用語の一部を紹介しています。

ア行・カ行

愛着・アタッチメント attachment

乳幼児期は、人の一生の中で精神発達が著しく最も早い時期である。
その後の対人関係を含む精神発達の基礎を形成する時期でもあり、いろいろな意味で重要である。
個の発達初期に大きな影響力・重要性を持つものに母親(養育者)との愛着形成がある。
乳児は、5~7か月頃になると、母親(養育者)を見て微笑んだり、母親が去ると泣いたりするようになる。
これは、母親(養育者)との間に「愛着(アタッチメント)」が形成されたといわれる。
愛着(アタッチメント)とは、ボウルビー(Bowlby,J(1969))が提唱したもので、特定の人と人との間に形成される、時間や空間を超えて持続する心理的結びつきである。

アサーション・トレーニング assertion training

yougo41950年代に、アメリカで誕生した。
対人関係や対人場面での問題処理が苦手な人びとに対して、対人スキルや社会的技能の獲得を目的にして行動療法家が開発した援助プログラムに端を発する。1970年代の公民権運動(人権拡張、差別撤廃の運動)を経ることで、「誰にでも自分を主張する権利がある」というヒューマ二スティックな人間観と結びつき、人間関係促進のためのプログラムとして発展した。
平木典子がアサーションを「自己表現」と解すことで、自分らしさを損わずに表現することの重要性を打ち出した。さらに自分も相手も大切にする相互尊重の精神に基づいたやり取りの促進を援助するためのプログラムとして日本版アサーション・トレーニングを集大成して、アサーション理論の提示・自己信頼やアサーションを阻む不安や思い込みの検討・ロールプレイによる練習などで構成される。

アダルトチルドレン adult children

安全な場所として機能しない家族の中で育ち、そのために様々な人間関係の問題や生きづらさを感じている人たちのこと。

アイデンティティ Identity

エリクソン(Erikson,E.H.)によって定義された精神分析学の概念で、自我同一性と訳される。
真の自分であること、正真正銘の自分、自己の存在の証明などの意味を持つ。自己の単一性、連続性、不変性、独自性の感覚を有し、一定の対象や集団との間で是認された役割の達成、共通の価値観を共有することによって得られる連帯感、安定感にもとづいた自己価値、肯定的な自己像を意味する。

育児困難 child-rearing anxiety    child-rearing stress

子どもを育てるに当たって、養育者が育児に際して感じる不安のこと。

いじめ bullying

yougo3いじめの問題は、1986年、いじめられた中学生が自殺したのをきっかけに社会問題として取り上げられ、今なお緊急の教育課題とされている。いじめの4層構造(いじめる側、いじめられる側、観衆、傍観者)があり、集団内で弱い立場に立たされたものに身体的暴力の危害を加えて心理的な苦痛や圧力を感じさせたりするものである。

依存・依存性 dependence,dependency

他人の関心、他人との接触、他人からの養護や介助等を求める欲求と行動傾向。
他人への依存は、生理的早産の状態で生まれた人間の新生児にとっては不可欠のものである。
依存欲求には、保証の欲求、愛情の欲求、承認の欲求等がある。

インナーチャイルド inner child

大人になっても自分の心の中に子どものころの心の傷つきがあり、傷のため成長が止まってしまった心のこと。
のびのびとして自発的で正直で、愛情や感情に富み、好奇心・直観の源ともなるものである。

うつ病 depression, melancholia

感情病、気分障害とも呼ばれ、感情と欲動の傷害を主徴とする精神病。通常、周期性の経過をたどり病相期以外は正常な状態に回復し人格の欠陥を残さないとされている。原因には遺伝負因、病前性格、発病状況等の重複が想定されるが確定はされていない。病状としては、1.感情障害(悲哀感、絶望感、焦燥感など)2.欲動障害(精神運動抑制、重症例では昏迷。更新例では焦燥興奮期)3.思考障害があり、内容面では自己価値観の低下。重症例では貧困、罪業、心気妄想、虚無、4.身体症状(睡眠障害、食欲不振、頭重感、便秘など自律神経症状)

解離 dissociation

通常、体験は自己意識、感情、身体感覚、知覚などが統合されており、過去・現在・未来が連続したものと感じられる。しかし,このような自己の統合性や連続性が失われることが解離現象である。
解離性健忘、解離性遁走、解離性同一性障害などがある。

解離性フラッシュバック Dissociative Flashback

外傷体験とよく似た感覚刺激(音・色・においなど)が引き金になって、外傷体験が今現在起きているかのように再体験する。
恐怖・怒りなどの情動反応や、過呼吸・痛み・動悸などの身体反応や、錯乱や情動麻痺を起こす。本人はしばしば、この一連の出来事を思い出せない。

学習障害 learning disabilities(LD)

学習障害とは聞く、話す、読む、書く、推理する、あるいは算数の諸能力についての習得と使用に著しい困難を伴う様々な障害群を総称する。
他の障害状態(例えば感覚障害、精神遅滞、重度の情緒障害)あるいは環境要因(文化の違い、不適切な指導)心理的要因によっても起こるが、それらの状態や要因の直接的な結果によるものは含まれない。

学校不適応 school maladjustment

yougo5校則違反、基本的な生活習慣が確立していないための集団不適応、友人や教師との人間関係のつまずき、授業の内容が理解できない学習上の不適応、学校行事や校外活動をめぐるトラブル、校外の反社会的集団との交友関係など、児童生徒の学校生活上の様々な問題を総称するものである。

葛藤 conflict

対立する二つ以上の欲求や衝動などの力が同時に同じような強さで存在し、しかもその方向が相反していて、心理的に身動きの取れない状態のこと。
心理的葛藤は、心の中で矛盾する力が対立していることを意味する。無意識的な対立の場合や、その葛藤を防衛によって解消しようとしている場合、神経症的な症状や行動の問題、人格の障害などとして現れる可能性がある。

家族機能 family functions

家族機能の本質について、社会学において
1.性的機能 2.生殖的機能 3.経済的機能 4.教育的機能 5.心理的機能  の5点があげられる。
心理学の領域からは、個人と家族の発達課題に取り組み、心身の成長を促進する機能や心理的社会的な問題の解決機能などがあげられている。
しかし、このような家族の機能は、家族の形態とともに、それぞれの社会の社会構造や文化に強く規定されるものであり、時代とともに変化しやすい。パーソンズ(Parsons,T.)は、家族が集団として適切に機能していくためには、家族と外部環境との間を調整する道具的・適応的役割と感情的な問題を調整する表出的・統合的役割を家族成員が協力して分担する必要を説いている。

家族神経症 family neurosis

家族内のある成員の神経症が、ほかの家族成員、とくに両親にとって何だかの心理的充足や均衡を保つ条件になっている。つまり、その両親の関係を中心とした家族関係の構造が、その家族成員の神経症に病因的役割を果たしている状況に、フランスの精神分析家ラフォルグ(Laforgue,R)が命名したもの。

逆転移 countertransference

患者に対して引き起こされる治療者側の感情反応。

共依存 co-dependence

外界にばかり注意が向き自分が見えなくなった状態。
「居場所をなくすのが恐い」「見捨てられるのが不安」「誰かに認めてもらいたい」など、拒絶されることを恐れ「必要とされたい」「大切な人だと思ってもらいたい」「愛してもらいたい」という自然な気持ちがエスカレートし、環境の要請にひたすら応じて燃え尽きるまで頑張ってしまうこと。

境界 boundary

yougo1自分と外界とを区別するライン。存在の輪郭を形作るものである。境界がないと自分の時間を持ったり、自分の時間を確保することができなくなり、周囲の人や状況にあわせて動くようになる。「こうあるべき」「あなたはこう感じるべきだ」「こう考えるべきだ」という周囲の指示を許すことになり、自分が自分でなくなってしまった感じになる

強迫性障害 obsessive-compulsive disorder

強迫症状には,強迫観念と強迫行為がある。
強迫観念とは取りついたように生じてきて意志の力では払いのけることができない考えである。
強迫行為は強迫観念や恐怖症に突き動かされていることが多い。例えば、ガス栓を一度閉めたのにもかかわらず「閉め忘れたのではないか」という強迫観念が起きるとそれを無視することができず「ガス栓を確かめに行く」という強迫行動が生じる。
強迫症状は、それが不合理であるとわかっていても止めようとすればするほど強い不安が生じるために止めることができない。

恐怖症

特定の対象や状況に対して顕著で持続した恐怖や嫌悪が生じる。その恐怖は行き過ぎており、普通の人々から見て理屈に合わない。特定の対象や状況は、実際に生じているものの場合も予期しているものの場合もある。理不尽な恐怖であることを認めることができるが恐怖にさらされてしまう状態をいう。
広場恐怖、高所恐怖、対人恐怖、赤面恐怖、視線恐怖、自己臭恐怖、不潔恐怖、先端恐怖、疾病恐怖、縁起恐怖など。

グリーフワーク grief work

喪の仕事、mourning work

愛する大切な対象を失ったとき、我々はその対象のことを思い悲嘆にくれる。対象が失われてしまったことを知的には理解はしていても、その対象に向けられていた愛情が容易には無くなってはしまわないのである。苦痛を伴うそのような状況から、心の中で対象の喪失をかみしめ、対象に向けていた愛情を徐々に諦めていきながら心理的な平衡状態を取り戻すまでの内的過程を喪の仕事と呼ぶ。悲哀の作業とも呼ばれる。

現実吟味 reality testing

現実検討ともいう。
空想・観念・思考といった内的な体験と、現実から感覚器官を通じて知覚された外的な体験とを識別する自我の本質的機能の一つ。
発達的に見ると、生後間もない幼児は現実吟味の能力をもたないが、知覚・運動機能の発達により、まずは内界と外界の区別や自己と他者の区別ができるようになる。さらに、言語の発達もまた現実吟味力の発達を促進して次第に複雑な機能を果たすようになる。つまり、適度な満足と欲求不満を体験する中で、幼児的な全能感を徐じょに放棄して、快楽原則から現実原則に従った行動が可能になる。

コミュニケーション

人間もしくは、動物などが、思想・感情などを伝え合う働き。その手段としては、言葉・身振り・文字・絵など、さまざまなものが使われる。yougo2<        

コミュニケーション障害 Communication Disorders
言語の表出と表出受容の理解の障害で、話し言葉、書き言葉、サイン言語などの障害を指す。

心理学用語1 (あ行・か行)