「人生がうまくいく哲学的思考術」  白取 晴彦

 

 

 

 

著者紹介
青森市生まれ。
ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。
既成概念にとらわれないで、哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある。
主な著書に『超訳ニーチェの言葉』『頭がよくなる思考術』『独学術』『この一冊で「聖書」がわかる』などがある。

 

 

第3部 ニーチェが教える 力強い生き方

19 勇気をもって決断する

人生のまっただ中で、若い人たちがとまどっている。この人生の中で、何をどうすればいいかわからないからだ。
迷い、怯え、自己過信などとうに昔に失い、さらには残る自信を削られ、自分の力のなさと能力の乏しさを感じるだけの日々。そうこうしているうちに、望みの多くを達成しないままに、確実に歳だけが増えていく。

誰もが常に人生の初心者だ

実は、こう感じているのは若者だけではない。いい歳をしたオトナも同じなのだ。なぜならば、みな人生の初心者だからだ。
ところが多くの人は、オトナはいわば人生のヴェテランだと思い込んでいる。自分は人生のヴェテランだと称する中高年も実際にいる。
けれども、十代のときに面したのと同じ問題が三十代になってもまったく同じ形で自分に向かってくるわけではない。三十代になれば三十代の問題がつきつけられる。七十代になれば七十代の、そして衰弱や病気などの逃げがたい問題が加わる。そういう意味で、誰もがその時点において人生の初心者なのだ。
もしそうでなければ、たとえば親の助言を聞いて同じように実行する若者ほど人生がたやすくなる。ところが、親の助言や知恵は有効でないことがしばしばだ。すでに親が経験した時代とはまったく別の時代だからだ。よって、いつも昔の解決方法が有効だというわけにはいかない。

昔の事柄にしか習熟していない親の助言や知恵が現代で無効ならば、若い人に問題や悩みを助けるのは何だろうか。書物だろうか、現代の問題についての新しい考え方だろうか。
それらはときには有効であり、ときには有効ではない。なぜならば、個々人の問題に直接的に具体的に役立つようなものはないからだ。だからこそ、それぞれの人がそれぞれの個々人の人生を選んでいく意味というものがあるのだ。