カウンセリングと心理療法 Counseling and Psychotherapy

ryouhou1-1カウンセリングとは
自己成長をめざしたり、問題・悩みを訴えるひとに対し、面接者がおもに言語的コミュニケーションと人間関係をとおして心理的に援助していく営みである。ロジャース(Rogers, C. R.)のようにカウンセリングと心理療法を同じとする立場もあるが、区別する立場のひともある。

 

ryouhou1_3カウンセリングの歴史

20世紀初頭、アメリカ東部にガイダンス運動が発展し、中でも1908年、パーソンズ(Persons,F.)などによるボストンの職業相談部設置、翌年ボストンの小・中学校にカウンセラーが任命されたことが、カウンセリングの源流とされる。1942年、ロジャースは、カウンセリングと心理療法には基本的差異はないこと、カウンセラーがクライエントを診断し、主導することは、適切なカウンセリングを行えず、また民主的でもないと批判して、みずからの立場をnon-directiveとする画期的な見解を表明した。
カウンセリングの方法は、初期個人法が専らであったが、最近は集団法(家族・グループ・コミュニティ)が盛んになり、予防的、教育的、開発的カウンセリングなど、立場、方法とも多様化している。

心理療法とは心理学の知見をおもに使って心の問題から心身に生じる症状を改善する方法の総称である。臨床心理学は心理療法と訳し、精神科医は精神療法と訳すことが多い。現代の心理療法に繋がるルーツはメスメル(Mesmer,F.A.)の“動物磁気”(催眠療法)に始まるといわれる。心理療法の近代的理論を構築したのがフロイド(Freud,S)である。フロイドは精神分析学を打ちたて、精神分析という心理療法を創造した。後にフロイドの精神分析を学んだ人々が、様々な理論、療法を打ち立て発表している。また、心理療法の実践から、ロジャース(Rogers,C.R.)のように心の問題は人間関係のあり方、対人葛藤から生じることが多いとの説etc.も出されている。
心理療法は、欧米から導入されたものがほとんどであるが、わが国独自のものの代表として森田療法と内観療法がある。
子供の心理療法としては遊戯療法、コラージュ療法、フィンガーペインティング、芸術療法、それ以外にダンスや臨床動作法など身体を使った心理療法もある。

 

ryouhou1_2個人におこなわれる個人療法(個人カウンセリングetc.)と、集団を対称にする集団心理療法(エンカウンター、グループカウンセリングetc.)がある。心理療法は現在においても神経症の治療を目的としているが、障害者のリハビリテーションに取り入れられたり、災害や事故、犯罪への巻き込まれから生じる心理的後遺症の除去、ターミナルケアのように死に向かう準備として用いられて、適用が拡大してきている。

カウンセリング
カウンセリング関係は、お金を媒介とし、時間・場所などの決められた契約関係であり、その中で、現実的な人間関係を維持する練習をしたり、これまで、気がつかなかった自分の傾向や様々なことに気づくことができる。カウンセリングでは、様々なことをテーマとして扱う。『様々な相手に過剰な期待をし、親切であったかもしれない相手から見捨てられる』というような、非現実的な他者との人間関係などをテーマとして、進めていくこともある。『電車に乗っていて、突然怖くなり、呼吸ができない感じに圧倒される。それ以来、一人で電車に乗るのが怖くなる。』『仕事以外に興味が持てない。仕事をしばらく休むと罪悪感や不安でいてもたってもいられない状態になる。』カウンセリングの適応範囲は広く、様々な問題、悩みを扱う。上記のテーマ意外にも様々なものがある。

 

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