第88回アカデミー作品賞・脚本賞 受賞作品

実話をもとにして作られた作品。
ボストンの新聞社「ボストン・グローブ」で、僅か4人のスポットライトのメンバーが、極秘のうちに新聞の記事を集めて、町の権力と化している教会内で行なわれていて、しかも隠蔽されてしまっている神父から児童への性的虐待を暴く。

2001年、ボストンにある新聞社「ボストン・グローブ」に新しい編集局長マーティー・バロンが赴任する。
新聞には『スポット・ライト』と名のついた新聞の一面があり、四人のメンバーがチームとして担当していた。
そのスポット・ライトに以前掲載されたカトリック神父による児童虐待記事を、編集局長は追求するべきだという。
最初1人の神父の名前が上がる。
そして次々と神父の数が増えていく。
スポットライトのメンバー達は、増えていく神父の数を複雑な思いで見ている。
そして、最終的に割り出した神父の数は、ボストンだけで約80人。

被害者の会からや被害者本人の供述なども集めるが、訴訟をくり返し起こしていながらも勝てない。
被害者側の弁護士には、教会側からの圧力がかかり、しかも資料は思うように集まらない。
繰り返された虐待の被害者の話しに、切実な現実が浮かび上がる。
スポットライトのメンバーは必至の思いで、記事を仕上げていく。

この記事は『世紀のスクープ』として全米を揺るがす。
新聞に掲載されて、アメリカ全土の神父による虐待の実体が明らかになる。

テンポの良い、飽きない場面展開で、メンバーのぎりぎりともいえる心理も描かれている。
明るみにでる事実から、昔からの親友との決裂を余儀なくされるメンバーや、教会を信じる人たちに対するメンバーの気遣い。
また、自身の教会に対する信頼の揺るぎなど、心模様が丁寧に描かれており、秀作として出来上がっている。

(J)

 

映画「スポットライト 世紀のスクープ」