94年 ヴェネチア映画祭
金獅子賞以下
10部門独占受賞作品

「時は死なず、巡ることなし」マケドニアとアルバニアの民族紛争と、其処に絡む人々の人間模様。
憎しみや愛、葛藤をまるでメビウスの輪の如く描く。

人は同じことを果てしなく繰り返すが、同じ時は二度は来ない。

第1話 「言葉」
若き僧キリルは、「沈黙の行」を行っている。
トマトを収穫しているキリルは、雨が降りそうなので畑から引き上げる。

夜になってキリルは自室に戻ったが、そこで彼は、自分のベッドに一人の若い女性がいるのに気づく。
助けてほしいという彼女の言葉を受け入れたキリルだった。
少女の名はザミラという。

翌日になってその少女を追いかける男たちがやってくる。
沈黙の行で何も言えないキリルは、一時は少女をかくまったことからうまく逃れるが、他の僧たちにこの少女の事が分かり、キリルとザミラは、僧院から出されることになる。
人目を忍び二人でキリルの伯父が居るロンドンに行こうとするが、ザミラの親たちに逃亡が見つかり、結局ザミラは殺される。

第2話 「顔」
場所はロンドン。
報道写真を編集しているアンは、電話で医師から妊娠を告げられる。
夫のニックは真面目な人だがアンには写真家の愛人アレックスが居た。
アレックスはピュリッツャー賞を受賞した報道写真家だった。

そのアレックスが、突然ロンドンに帰ってくる。
故郷のマケドニアに帰るという。
今夜の飛行機で一緒にマケドニアに行こうと言われるが、あまりに突然のことで戸惑うアン。

アレックスは、自分は殺人を犯したのだ言う。
疲れた様子のアレックスに、アンは待ってほしいと頼むが彼は一人で故郷に発つ。

その夜、夫ニックに離婚を持つ出したアンだったが、二人が食事をしているレストランに突然拳を持った男が銃を乱射し、ニックは死んでしまう。

第3話 「写真」
マケドニアの帰郷したアレックスは、荒れ果てた自分の家を見る。
16年ぶりの故郷であった。
一見何も変わっていないように見える故郷であったが、村には銃を持った人々が居た。

親戚や旧友との懐かしい会話もあり、故郷を懐かしむアレックスであったが、かつての恋人ハナに会いに行こうとすると周囲が『彼女はアルバニア人だ』と険しい顔をする。
そのハナに会いに行くアレックスは、アルバニア人とマケドニア人との争いを実感し、また、互いに恨みを積もらせてもいた。

アレックスの親戚のボヤンが殺され、村人は500年の恨みを晴らすと、武器を手に犯人と思われるハナの娘ザミラを捕まえる。
アレックスの前にハナが現れ、娘のザミラを助け出してほしいと頼まれたアレックスは、仲間が止めるの効かず、ザミラを救おうとして、村人から射殺されてしまう。

空には雨雲。
もうすぐ雨になりそうである。

繰り返される恋と悲劇。
同じ時は二度と来ないのに、人は同じことを繰り返す。
メビウスの輪のように果てしないくり返しの中人は何を思い何をするのか。
静かな主張の映画である。
無理なく、でもそっと考えざを得ない状況を創る。
そんな映画だった。

(J)

「ビフォー・ザ・レイン」 Before The Rain