ニコラス・ヴァン・オートンは、すべてを手に入れた男だった。
サンフランシスコの名家に生まれ、財産も、社会的な地位もあった。

ニコラスの父親は、48歳の時に、投身自殺をする。
ニコラスは、父親の自殺を目撃する。

一方的なコミュニケーションの断絶が自我の喪失とコントロールの喪失をもたらす。
そしてそのことは、トラウマとして彼に色々な影響を与える。

妻とは離婚して、人との関わりをあまり持たず、
自分の思いで周りをコントロールする。
莫大な富と権力を持ちながらも、彼は自分の心の世界に自閉的に閉じこもった。

弟のコンラッドは、更生施設などに入ったりして、少し問題を抱えている人である。
父親のように弟の面倒を見るニコラスだが、ニコラスの48歳の誕生日のプレゼントとして、コンラッドは、CRSクラブ(お楽しみクラブ)への入会を勧められる。
娯楽サービスとして、その人特有の「ゲーム」を企画してくれるという。

Make your life!

何をするかも解らず、半信半疑のまま、とにかくニコラスは入会する。
そしてゲームは始まる。

まずは一つの鍵が渡され、クリスティンという女性と逃げ惑うことになる。
一晩開けて、ホテルから呼び出しがあり、亡くなったクレジットカードと引き換えに、身に覚えのない乱チキ騒ぎの現場にいたことになっていることに気づく。

家は荒らされ、タクシーに閉じ込められて、危うく水死しかける。
気がつくと、メキシコに居たり、家が売られていたり。

どこからがゲームで、どこからが現実かも解らない。
弟からは誤解され、クリスティンからCRSは詐欺の団体だと聞かされる。
何が真実で、誰を信じたらいいのかも解らない。

すべてのモノを失ったかと思われたその時、彼は父親と同じようにビルの屋上から飛び降りる。
そして。

人生のプロトタイプ。
自分で書いた人生ストーリーを人は生きる。
そして、ゲームを通じて、ニコラスは再生する。

ヨハネ福音書9章25節
「私は盲人であったが、 今は見える、今は見える」

『価値のあるものを捨てて再生する』

過激な再生のストーリーだが、トラウマからの解放は確実に行われた。
『死と再生の物語』は、どうなるかわからないハチャメチャな弟からのプレゼントで達成された。

幸福になるには、幸福になろうとする意思がありさえすればいいのだという。
奇妙で奇抜なストーリーは、人々への感謝で幕を閉じる。

(J)

「ゲーム」 The Game