2012年国際ベルリン映画祭 銀熊賞 授賞
2013年 アカデミー外国映画賞 ドイツ代表 作品

1980年の夏、ベルリンの壁が崩壊する9年前、田舎町に一人の女医が赴任してくる。
左遷されて、東ベルリンの秘密警察シュタジにも監視されていた。
誰も信用せず、一人で孤立する女。
その名前はバルバラ・ヴォルフという。
シュタジの秘密監視官は、いつもと違う行動をとると、容赦なくバルバラの部屋や身体をくまなく調べる。
不眠に陥りながらも仕事をするバルバラであった。

赴任した病院で、彼女を気にかけて、色々と面倒を見る医者がいた。
彼の名前はアンドレ・ライザーという。
誠実で仕事熱心な彼は、いろいろな事をバルバラに教えながら心を砕く。
しかし、そんなアンドレにも彼女は心を開かない。

厳しい監視の目を逃れて、バルバラは西の豊かな所からくる恋人ヨルクと忍びあう。
ヨルクはお金をバルバラに渡しつつ、西へと逃れる手立てをする。
この地からの脱出を望むバルバラであった。

一方 バルバラは、医者として公私を惜しまず仕事をするアンドレに、少しづつだが信頼を寄せていき、心を開いていく。

厳しい東ドイツの現状は、病院に担ぎ込まれてくる患者が物語る。

怪我をして入院してきたステラは、今回で4回目の入院である。
彼女はトルガウ作業所で働く。
そこは作業所とは名ばかりで、金網が張られたところで過酷な労働が強いられていた。
逃げる作業員は捕まえて強制的に連れ戻す。

作業所に戻ることを嫌がるステラは、バルバラに心を寄せ、自分をどうにかして欲しいと言うが、しかし、バルバラにもアンドレにもどうすることも出来ない。

恋人ヨルクが準備した脱出の計画は、船でデンマークに逃れることであった。
その計画の日が近づく中で、自殺未遂で入院してきたマリオは、その経過の中で、頭の回復手術が必要なことが分かる。
そして、その手術に麻酔医として立ち会うようにと、アンドレはバルバラに告げるのだった。

仕事と二人の男性の間で、心が微妙に揺れ動くバルバラが、脱出決行の日に取った行動とは…。

田舎の美しくのんびりとした風景とは裏腹に、心の緊張がびりびりと伝わってくる。
画面から伝わるその緊張感に、思わず目が離せなくなる。

作業所に連れ戻されたステラが、再び逃げてバルバラの元に来る。
バルバラはどうするのだろうか?
アンドレの信頼に彼女は答えるのか?
それとも、恋人の待つ船へと行くのか?

バルバラも揺れ動くが、映画を見ている私も揺れ動く。

(J)

「東ベルリンから来た女」