最果ての地にあると言われて、『地上の楽園』とも『天国』とも言われるシャングリラ。

生きることが喜びであるような、平和で安全な土地を人々は昔から夢見てきた。
その土地は、チベットの山の奥深く、人知未踏の場所にあるという。

この映画は、1973年にオリジナル版を復元し、107分になっていた当時の映像を、132分のサイズにして完成させたもの。
第1次大戦中は、部分的に改訂されて上映されたもので、時代を反映し、反日感情を掻き立てるものに改造されていたという。

主人公のロバート・コンウェイはイギリスの外交官で、1935年3月10日の夜に、中国のバスクルでの反乱軍の虐殺から、欧米人を守るために活躍し、自らもバスクルを逃れるが、その飛行機が予定の上海には向かわず、チベットの山奥深い地へと向かう。
切り立つ山々、雪深い地を超え、人知未踏の地へと向かう。

同行者はコンウェイの弟のジョージ、古生物学者のラベット・後半年の命と宣告されているグロリア・警察から追われているバーナードの5人である。

5人は、飛行機の墜落後、ラマ僧チャンに導かれて、ある地に着く。
そこには想像を絶する光景があった。
光輝き、鳥は飛び、人々は温厚な地で暮らす。

まさに其処は、天国ともいえる場所。
すべて充ちているその地では、人々は財産を持つ必要がなく、争いも無く、ほどほどのそれぞれに相応しい適当な規則と、程々の心の規制があり、それを基に人々が共に暮らす。

始めは疑いや不信感で、さまざまな憶測を持つ5人だが、やがてシェルパが来るというチャンの言葉を頼りにシャングリラで生活をする。
段々と健康をとりもどすグロリア。
満ち溢れる金塊に心を奪われつつも、人との心の関わりに何時しか深い癒しを覚えるバーナード。
厳しい顔も笑顔になっていくラベット。

ただ、コンウェイの弟のジョージだけが、この地での生活を疑い、脱出を試みる。
そして、シェルパの助けを得ることが出来たジョージは、母国イギリスを目指して、シャングリラの脱出を試みる。
そしてその結果は・・・。

古典的名作として知られる「失われた地平線」永遠の平和を求める人々に支えられながら、
今を生き抜く名作です。争いの絶えない現代の社会で、多くを求め無くてもいいという生き方は、夢の世界でもあり、とても現実だとは信じがたくもあります。

そして、何時の時代にも、そんな世界がどこかに在って、主人公のコンウェイのように、一度この社会に戻りながらも、再びシャングリラへ行くということを心から願い、そして実行した。
そんな心持ちをなくさないでいたい、そんな思いを持つ映画でした。

(J)

「失われた地平線」 LOST HORIZON