カンヌ・ベルリン・ベネチアの世界3大映画祭の受賞作品。
2010年第60回ベルリン国際映画祭
銀熊賞 男優賞・芸術貢献大賞 受賞
ロシア北極圏、辺境の島にある気象観測所。
放射能の数値を測定し、本部に連絡し、データを送る。

その気象観測所には、二人の男 セルゲイとパーシャ(ぺベル)が居る。
若いパーシャは陽気に音楽を聞き、パソコンでゲームをする。

厳しい北の島での観測には、激しい自然・熊の脅威がある。
安易な行動をするパーシャにゼルゲイは、注意を促す。

そんなある日、ゼルゲイは、食糧のマスを釣りに海へと出かける。
その折に、パーシャは、 データ報告をミスする。

しかも、所長からの無線連絡で、ゼルゲイの妻と子どもが事故で瀕死だという連絡を受ける。
マス釣りから帰ってきたゼルゲイに所長からの伝言を伝えなければいけないのだが・・・。

パーシャは、ゼルゲイを前にして何も言わない。
至急の連絡をという所長の言葉を無視し、
何事もないかのように振舞う。
二度目のマス釣りの後、もうすぐ、本部から迎えが来るという連絡を受け、パーシャは、ゼルゲイの妻や子どもの事故のことをやっとの思いでゲルゼイに伝える。

何もない北の観測所。
そこには、二人の男しかいない。

その二人の心の動きが、画面から聞こえる風の音が、まるでバックグランドミュージックの様に流れる。
そして、ミステリアスティックなドラマが繰り広げられる。

ゼルゲイの怒りに触れ、観測所から逃げたパーシャは、寒さとひもじさの中で葛藤する。

映画の途中で、パソコンを使いデータを合理的に処理し、自分の楽しむ時間を作るパーシャと、従来のやり方であろう電卓を使いデータを処理するゼルゲイ。
ジェネレーション・ギャップとでもいいのか、二人のやり方の違いが描かれている。
お互いに相容れないものを持つ二人が二人きりで仕事をしながら、不安や怒り、慄き・恐怖を胸に持ち、それが、次第に二人の行動に影響していく様が興味深い。
サイコティックな、でも、お化けもモンスターも出てくるわけでなく、普通の二人の人間の微妙な心の動きが現れている秀作である。

(J)

「夏の終止符」