リダクテッド Redacted とは、
“都合の悪い情報を削除すること”。
イラク サマラの米軍キャンプでのこと。

2006年にサマラで起きたレイプ殺人事件に基づき、その前後を想像したフィクション映画だそうだ。
2007年 ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞 最優秀監督賞 受賞。

エンジェル・サラサール上等兵の日記というスタイルを取る。
映画学校に入ることを目的にして記録した映像で綴っている。

サマラ米軍基地は、武器や爆弾を隠す車を探すためのキャンプ。
一台一台車を止めて検問する。
警告しても止まらない車には、砲弾される。
しかし、検問の為に書かれている文字を読めるイラク人は少ないという。
止まらなければ、理由の如何を問わず発砲される。
それが、仕事である。
射殺した2000人のうち、『敵』は60人のみである。

死と隣り合わせの現実。
どうしようもない苛立ちや不安が軍全体に漲る。

そんな折に、武器を隠し持っているのではと疑われた家に押し入った彼らは、その家の主人を連行。

そして、再度その家に押し入り、15歳の少女をレイプし、家族を皆、射殺。

レイプは2人のアメリカ兵が主犯だった。
サラサールは、ビデオを撮影するために同行。

しかし、目の前に繰り広げられるレイプと殺人の、余りの凄さに身体の調子を崩し、帰国が許されることになる。
少女や家族を奪われたその家の主人は、アルカイダとして報復を決意し、その犠牲者として、帰国直前のサラサール上等兵は、誘拐されて首を切り落とされる。
事件を目撃こそしなかったが、起きたことを止めることが出来なかったとして、アメリカ軍、マッコイ兵は、レイプ犯の二名を軍法会議で訴えるが、Redactedされる。

日本を始め、おそらく世界中でリダクテッドは起きているのだろう。
珍しくもない事になってしまっている。
報道の内容が本当かどうか、また、何か隠しているのではと感じてしまうことが日常的な感覚になっている感じもある。

私達人間は、何か自分には対処できないとか耐えられないと思う事は、防衛機制という心のメカニズムで無いことにしたり、忘れたりすること、時には、人や自分を責めることで、自分を守るという事をする。
健康的、かつ抑圧的な防衛は、当然ながら個人をうまく守り、適度に環境との調和を図る。

しかし、防衛機制が過剰だったり、反対に希薄だったりすると、自分をうまく守れなくなり、精神の機能がうまく働かなくなる。
こころの 防衛は、(ある意味で心のredactedかも・・・) は、必要なときには、思い出すことも可能だし、ましてや、この映画のように、エゴイスティックに自分の欲望をむき出しにするために使われるものではない。
怒ったり、悲しんだりしながらの観賞で、90分で、随分疲れた感じになる。

(J)

「リダクテッド REDACTED」