1969年 ブロックス
べインブリッジ病院に一人の神経科の医師が赴任する。
彼の名前はマルコム・セイヤ―医師といい、今まで実験ばかりをしていて実際の患者を見たことがなかった。
そんな彼が目にする病院内の患者たちに、彼は戸惑いながらも、次第に興味を覚えていく。

患者を注意深く観察し患者にいろいろな事を試す。
カルテを読んでいるうちに、セイヤ―医師はあることに気がつく。
それは、1917年頃に流行った「眠り病」についてであった。

カルテには、彼の注意を惹く患者にはそれぞれ違う病名が書かれたあったが、その全員が「眠り病」に罹っていた。
マイヤー医師は、「眠り病」の権威であった医師に会い、色々な意見を聞き、一つの仮説に至る。

この自分という者がまるでなく、自分の意志で動かず、でも、他人の刺激には反応する。
それぞれの個性で反応するこの人たちの症状は、「眠り病」と関連があるかもしれないと…。

レナードもまた、似た症状で入院している患者だった。
1939年に20歳でベインブリック病院に入院してから30年の月日が経つ。

『嗜好性脳炎』と言う病は、痙攣に始まり、徐々に体の機能を制限してゆく。
そして最後には眠ったままのような状態になる。

その頃、パーキンソン病のために開発された新薬があった。
マイヤー医師はその新薬をレナードに飲ませるために母親や院長の許可を取る。

祈る思いで服用するお薬も効果は思うように出ない。
それでも諦めないでお薬をレナードに飲ませる。
そんなある日、思いきった増量の後、レナードに変化が現れる。

自分で話し、自分で歩く。
30年もの月日失くしていた自分をレナードは取り戻していく。
マイヤー医師もレナードの母親も、勿論レナード本人も有頂天になっていく。
が、やがてレナードは病院の対応に不満を抱くようになり、病院に反抗的な態度を示すようになる。
変わっていくレナードにまわりは戸惑う。
そして、無くなったはずの症状が徐々にレナードを襲いだしていく。

上手く話せないし、痙攣も出てきた。
お薬の副作用か、それとも症状か?

周りの医師や関係者のの努力もむなしく、レナードはまた、元の状態へと戻っていく。

実話を基にして作られた作品。
30年の空白の後の目覚めはどんなものなのだろうか。
そして、再び眠る。
マイヤー医師はその後もいろいろな薬をこの病気の人々に服用し、試したとある。
緻密に患者を観察し、諦めない彼の姿勢は、見ていて心地よい。

また、レナード・ロー役のロバート・デ・ニーロが素晴らしい。
この役をするのに、随分研究したと聞く。
ホントに彼は病気なのではないかと疑ってしまいたくなる。

レナードが徐々に痙攣が出てきて、必死に治そうとするシーンがあるが、その思いを想像すると、思わず涙が出る。

普段当たり前と思っていることのありがたさに思わず身がすくんだ。
身体も心も本当に大切なものだと、改めて思う映画だった。
良い映画は何回見ても、それなりに得るものがある。
またいつか、見ることがあるかもと思いながら…。

(J)

「レナードの朝」