『アドルフ・ヒトラー』を知ってますか?
ユダヤ人やホモ・セクシャルの人たち・宗教関係者などを収容所に送り、大量殺人をしたドイツの総督です。

この映画は、そのヒトラーに演説を教えたユダヤ人の物語。

1944年12月
ヒトラーの側近の J・ケッベルス博士は、ある事を思いつく。
それは、ヒトラーに演説の指導をすることで、ドイツ全土に指揮を高めようとする試みだった。

その指導者として指名されたのは、世界的に有名なユダヤ人俳優であるアドルフ・グリュンバウム教授。
教授は、以前にもヒトラーに呼吸法等を教えたことがあった。
演説は1944年1月1日である。
残る時間は5日間である。
収容所にいた教授は、急遽、ヒトラーの元に呼び出される。

大戦がもう少しで終わろうとしていた。
ドイツ・ベルリンは、敵軍の攻撃で破壊され、日ごとに敗戦の気配が漂う。
そして、それを隠すように訓練は始まる。

ヒトラーが、実の父親から虐待を受けていたという話は有名ですよね。
映画の中で、ヒトラーは、催眠状態で、虐待の経験を話し、カタルシスに至るシーンがあります。

カタルシス(catharsis)
過去の苦痛に満ちた痛ましい経験、恐怖などの抑圧された心的外傷体験や、感情や欲求などを、治療者との関係の中で再体験し、自由に表現することにより心の緊張をとき、自分の体験としてとらえ直すことをいう。
そもそも、アリストテレスが、観客が悲劇を見ることにより、自分の心の中が浄化される経験をすることを述べたギリシャ語である。
ブローアー(Breuer,J.)によって命名され、フロイト(Freud,S.)はそこから精神分析を展開していった。

大量殺人者としてのヒトラーと、人間としてのヒトラーは、画面を見ている私には、重なりにくい所があります。
父親としてのヒトラーは、子どもを抱きかかえて可愛がり、何処にでもいそうな父親としての顔があります。
(「ヒトラーと4人の女たち」)参照

演説の指導者として、ヒトラーの傍で5日間過ごしたグリュンバウム教授は、彼の心の傷を見、孤独で愛情に飢えた子どもの様なヒトラーを観ます。
そして、演説の当日、グルュンバウム教授は、ヒトラーの心を語り、そして殺されます。

ヒトラーを知らない若い世代が増えてきています。
ましてや、そのヒトラーに演説を教えたユダヤ人がいたこと。
その人の名が、グルュンバウム教授だということ。
その史実が、いつまでも人々の心に残りますように!

(J)

「わが教え子、ヒトラー」