最近、日本でも虐待の悲惨な報道が目立つようになってきた。
この映画は、1965年、アメリカ・インディアナ州で起きた少女シルビアの虐待事件の裁判記録を基に作られている。

カーニバルが大好きで、回転木馬が好き。
そんな少女シルビアは、両親の仕事の都合で、妹のジェニーと共にシングルマザーのガートルートの家に週20ドルの約束で預けられる。

ガートルートには6人の子供が居た。
長女のポーラ、そしてシャーリー、マリー、ジョニー、コイ、ステファニー、赤ちゃんのケニー。
洗濯で生計をたてており、アルコールを飲み、恋人のリッキーからも離れられない。
その上、精神薬の服用もしていた。

ガートルートの家に預けられたシルビアとジェニーは、親からの送金がないと折檻される。
その後、シルビアは、嘘をつくなど、様々なことをガートルートから言われ、家の地下室に監禁。

ガートルートの子供たちや近所の子供、それに、シルビアに恋心を抱いていたリッキーから殴る・蹴る・煙草の火を押し付ける。
焼きを入れる。
水を賭ける。
柱に縛り付ける。
水を与えないなど言い切れぬ虐待を受け死亡する。

通報を受けた警察が目にしたのは、体中に傷をうけたシルビアの遺体だった。

ガートルートは、シルビアの殺人を裁判で否定したが、判決は第1級殺人で有罪。
終身刑で服役。
20年後、出獄。
その5年後に死亡。
ガートルートの子供のポーラも共犯で2年服役。
ジョニーは最年少の服役囚になり、リッキーも故殺で有罪となる。

なぜ、虐待は繰り返されるのだろう・・・。
心理学では、虐待をする人もまた、虐待を受けた人であることが多いという。
ドメスティク・バイオレンスの加害者もまた、虐待体験者である事が多いという。
(「DV加害男性への心理臨床の試み」参照)

幼いころのトラウマは、抑圧され、封印され、その結果、記憶は行き場を失い、エネルギーが当てもなく彷徨う。

加害者との同一視という言葉がある。
痛みを痛みとして受け止め切れず、抑圧した結果、恐怖は、『怒り』となり周囲に発散される。

虐待のすべてをトラウマのせいだということでは出来ない。
しかし、その可能性は大きく、躾という名の暴力は、今、親権という名の下で横行しているという。
何かが誰かの中で蠢いている。
この事件は、当時大変な話題になったそうだ。
虐待する者の心理がよく描かれおり、何かを見ないことにすることの怖さをひしひしと感じる。

(J)

インナーチャイルド・グループワーク

「アメリカン クライム」  A AMERICAN CRIME