2005年製作
監督・脚本  パラオ フランキ
出演  バラボラ ボブローヴァ
アンドリア レンツィ
ブリジット カティヨン

自室の窓から道路をはさんだ向かいの部屋を見つめる女・ヴァレリア。そこには、一匹の犬と一人の男・マッシモがいる。
ある日、同時通訳の仕事をするヴァレリアは、自分が見つめる男・マッシモの通訳をすることになる。
抑うつ薬に関しての通訳で、ヴァレリアは、初めて、思わぬミスをする。
そして、そのとき以来、ヴァレリアの中で何かが変わる。

マッシモが、愛犬を失い、引越したのを知り、彼を追いかける。マッシモの私生活に入り込んだ彼女は、マッシモの恋人である大学教授のフラヴィアに近づき、また、マッシモにも近づく。
マッシモとフラヴィアの間が破局に近づくにつれて、マッシモにとってのヴァレリアの存在の意味が変わる。

“見つめる女”から“見つめられる女”へ。
そして、ヴァレリアは、フラヴィアに置手紙を残し、もとのところに戻る。

ヴァレリアは、見つめる女から見つめられる女になった時、その場所から立ち去る。
“底に沈むのでもなく、上に浮かぶのでもなく、ちょうど、その中間の私は漂う。”
目立つわけでもなく、目立たないわけでもない。

人と関わらないわけでもなく、人と親密になるのでもない。
軽い抑うつの中で、彼女は“しない”ということをくり返す。

静かな哀しみのタッチで描かれている恋愛映画である。
そして、まさに現代の人々の深く人と関わることを避けることを象徴しているような映画かもしれない。

“寂しいけど、けっして傷つかない”そんな私。見つめる女。

(J)

「見つめる女」  La spettatrice