2013年 アメリカ・イギリス 合作

トランスとは、昏睡状態とか催眠状態のことを言う。
催眠療法で催眠をかけると、人口全体の5パーセントくらいの人は深いトランス状態に入ると言われている。

サイモンは絵画のオークショナー(競売人)だが、ギャンブル中毒者でもあった。
ギャンブルで多額の借金のあるサイモンは、その借金の肩代りをフランクにしてもらう。
そして、40億の値打ちのあると言われるゴヤの名画『魔女たちの飛翔』を盗むことになる。

競売当日、サイモンは打ち合わせとは違い、フランクに逆らうような行動を取り殴られる。
その時のショックで、サイモンは名画の在処の記憶を失くす。

記憶喪失のふりをしているだけだと、仲間から拷問を受けるが場所は思い出せない。
困ったフランク達は、サイモンに催眠療法を受けさせて、記憶が甦るようにし名画の場所を探るように手配する。

サイモンに、催眠療法士に選ばれたのはエリザベスという女性セラピストだった。
エリザベスは、サイモンの様子から背後にいるフランク達を知り、仲間として扱うように持ちかける。

トランスに入るサイモンは、幻想と現実の交差する中、様々な記憶を語るようになるが、恐怖が邪魔をしてどうしても名画の在処が分からない。
記憶が戻ると自分が殺されるのではないかと考えていると
エリザベスは言う。また、エリザベスに感情転移を起こしていて、フランクへの嫉妬心もあるという。

フランク達は、エリザベスの言うことを聞き、彼女の言い分に従うことになるのだが、どこかで腑に落ちない。
ひょっとしたら、エリザベスが自分たちを出す抜こうとしているのではないか?
猜疑心は猜疑心を生み、仲間としてエリザベスを信用しにくくなるが、今は催眠に頼る以外方法はない。

サイモンの記憶は、様々な催眠をしてもどうしても戻らない。
そして、エリザベスへのサイモンの思いを利用して、思いきった方法をとることになるが…。

娯楽作品としては十分楽しめる映画だ。
催眠療法の様々な誘導が披露されるが、あれほどのトランスは、なかなかお目にかかれない。
映画の楽しみや興味として映画を見る。

トランス誘導の邪魔になる様々なことが取り除かれていく中、
最後の結末は、思いがけない方向へと進む。〝そんなのあり!!”って感じだが、そういえばそんなこと言ってたなあって思いだす。

(J)

「トランス」 TRANCE