2013年 制作
アカデミー 主演男優賞・助演男優賞・メイクスタイリング賞 受賞
ゴールデングローブ賞 受賞

先進国では、唯一日本だけ『エイズ』患者が増え続けている。
平成25年の統計では、感染者 1,077件(過去3位)新AISD 469件(過去2位)

統計を取り始めて、過去2番目に多い。
エイズ患者のための血液検査が始まって、感染者や発症者の数の把握ができて、そのために数が増えているという話もある。
針の使い回し禁止ややエイズ撲滅運動などがありながらも、変わらぬ現実があるという事なのか。

カーボーイのロンは、カーボーイが大好きだ。
本職は電気技師で日々の生活は酒と女とギャンブルだった。
仲間とするカーボーイの賭けに負けてもお金を持って逃げ回る。

そんなロンがある日自宅で倒れた。
病院で医師から言い渡されたことは、HIV陽性で余命30日の宣告だった。
大の女好きのロンにはエイズに感染するような覚えがない。
記憶を辿りやっと原因に思い当たる。
やはり自分はHIVのようだ。
症状も同じだ。

医師は病院で療養するように勧めるが、ロンは懸命に、図書館でエイズの事や治療薬のことを調べる。
新薬が発売されることを知ったロンは、女医であるイブにその薬を飲ませてくれと頼むが、治験がまだ終わってないからダメだと言う。
ロンはまだ死にたくなかった。
ロンは必死だった。

裏から手をまわしてAZTという名のエイズ治療薬を手に入れる。
薬を飲み酒を飲む。
が一向に良くならない。
余命30日という時間は迫ってくる。

ふとしたことからメキシコの医者のことを聞きつけ、彼はボロボロになりながらも、必死で車を飛ばす。
辿り着いたその医者は医師免許を剥奪されていた。
アメリカでは使用許可の出ていない薬を使う。
ビタミン剤やペプチドT,ddcなどである。
無許可の薬を使う。

ロンはその医者のもとで治療を続ける。
そして宣告された30日は過ぎた。
医者の言う通り薬を飲む。
彼は少しづつ元気を取り戻す。
それでも病気は治ったのではなく命を引き延ばしただけだと医者は言う。

自らの体で薬の効果を確かめたロンは、自分が飲んでいるその薬を国境を越えて持ち込むことにする。
そして会員制のクラブ『ダラス・バイヤーズクラブ』を開く。
会員になるためにお金を払った人に、無料で薬を渡す。
病院で知り合ったトランスジェンダーのレイヨンが、彼の仕事を手伝った。

仕事は順調に会員数を伸ばし、HIVに効果があるとされる薬を、世界中に買い求める。
食べ物に注意し添加物を避ける。

そんなロンの前に立ちはだかったのは、製薬会社とロンの動きが気に入らない医者たちだった。
HIVの人たちは、
偏見に曝され蔑まれながら自らの病気と闘ってきた。
ロンも周囲の反発や差別に怒りながらも、自らの身体で証明された薬をより多くの人にと闘い続けた。

余命30日と言われながらも、その後7年生きたという。

カーボーイ好きのロンは、何時かもう一度馬に乗ることを夢みて、無理解な社会と闘い、彼の行動を温かく見守る人たちと共に、毒性が低く身体に優しい薬を求めて世界を飛びまわる生活をする。
点滴をつけながら医者と渡り合うシーンは、ユーモラスながらもどこか哀愁のあるシーンにもなっている。
めちゃくちゃともいえる生活は止み、いつしか人々の尊敬を集め、彼自身の偏見をも克服されていくことになる。

(J)

「ダラス バイヤーズクラブ」