jurinburogu201604271

 

G・ガルシア=マルケス   鼓 直 訳

1928年生まれ。コロンビアの小説家。新聞記者としてコラムや特派記事などを多数執筆する傍ら創作活動を開始する。初期の代表作『大佐に手紙は来ない』の完成後、魔術的リアリズムの頂点とと謳われる『百年の孤独』を発表。1975年、〈独裁者の小説〉の傑作『族長の秋』を完成させる。1982年、ノーベル文学賞受賞。

 

ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランは生まれた村を出た。

何代にも亘って婚姻関係を結んだ両家の間から、

「豚のしっぽ」を持った子供が生まれるのをウルスラとその母が恐れたのだ。

新しい土地を開拓してマコンドと名付けて、新しい家を建てた。

ウルスラは採光のよい広々とした客間や様々な花で飾られた食堂や、

栗の大木がそびえる中庭や手入れのよい野菜畑や山羊や豚や鶏が仲良く暮らせる庭を作る。

小柄だが働き者でまじめで気丈なウルスラは明け方から夜更けまでかたときもなく休まず働いた。

そのおかげで家はいつも清潔だった。

夫のホセ・アルカディオ・ブエンディアは村のために力を尽くし人々の信頼を得ていた。

20件ほどの家のある小さな村に毎年3月になるとぼろをぶらさげたジプシーが来た。

メルキアデスを名のるジプシーから

マケドニアの錬金術を披露されたホセ・アルカディオ・ブエンディアは、

持ち前のとてつもない空想力で夢中になる。

そしてかつての働き者とは打って変わってお金にならない予言や不死の研究に没頭するようになる。

2人の間にはホセ・アルカディオとアウレリャノ、そしてアマランタが生まれる。

長男ホセ・アルカディオは、年頃になると、

サーカスの美しいインディアンの娘と家を出る。

後にアウレリャノ・ブレンディア大佐となる息子は、

父親と同じようにメルキアデスの羊皮紙に夢中になり、未来を予言する力を手にする。

ふとした好奇心から革命軍に入り、今までの誰よりも残忍な将軍となるが、

戦いの空しさを知り、本当の幸せを求めて家に閉じこもり、金細工をするようになる。

「百年の孤独」は、

ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランによってつくられたマコンドの言う名の村と、

ブエンディア家の一族の生き様や、村が作られ、人々が繁栄し、そして消滅するその歴史を描く。

「豚のしっぽ」を持つ子どもは、

この一家の歴史が閉じられる時に現われて、全ては消滅する。

幻想文学の最高峰とも言われるこの作品に、

人びとは何を観て何に惹かれるのか。

ブエンディア家の特徴として描かれる「孤独」は、

最後に「豚のしっぽ」を持つ子どもの誕生で閉じる。

そしてその子どもはこの一家の歴史の中で唯一愛を受けた子供として描かれる。

自然に戦いを挑み、不正に命を懸ける、

この長い「愛の本」は、消滅という形で元の廃墟へと導かれる。

(J)

 

 

 

 

 

 

「百年の孤独」