佐藤正午 (さとう しょうご)
1955年長崎県生まれ。
1983年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞。
2015年『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞を受賞。
2017年『月の満ち欠け』で第157回直木賞を受賞。
主な著書に、『Y』『ジャンプ』『きみは誤解している』『小説の読み書き』『5』『身の上話』などがある。

古堀徹の自宅マンションの隣人が何者かに撲殺されてから15年がたった。
その後、転勤に伴い、引っ越しをした古堀は、結婚。そして数年前に離婚し、今は元の住人が残していった犬と暮らしている。
ある日、検察事務官の古堀の元に、かつて事件のあった隣人の娘村里ちあきが訪ねてくる。
ちあきは、自分の記憶と母親の記憶が違っているという話をしていき、古堀はふと、15年前に付けていた日記のことが頭に浮かぶ。
そして、時効をむかえている隣人の殺人事件を、自分の古い記憶だけでなく、当時の資料を元に、再度、調べ直すことになる。

「匂い」が様々なことを思い起こさせる。
殺人発見者であった彼の記憶には「匂い」があった。
その何処かで嗅いだ覚えのあるその匂いは、彼の記憶からある人物を引きずり出す。

かつての交際相手の千野美由紀のこと、美由紀の叔母の旭真理子、そして被害者の妻である村里悦子。
村里悦子は、夫から暴力を受けていた。
交際相手の千野美由紀は、そんな村里悦子や娘のちあきを嫌っていた。
そして、偶然手に入れた旭真理子のジャンバーを着る悦子の匂いは、真理子と同じ香水の匂いがした。
だが、それぞれの人には、完全なアリバイがあった。

荒唐無稽な仮説を立てていく古堀は、交換殺人と言う絵空事のような仮説を立てる。

衝撃的な後日譚が書かれている「ブルー」は、まるで、アンダーリポートのようにショッキングな内容だった。
完全犯罪の面白さと、そして、コールガールの「サオリ」など、次々と浮かぶ疑惑を、記憶の頼りに解き明かしていく。
読みながら、先を急ぐ心の流行は、作者の展開のうまさだろうか。
そんな、はやる心にふと目が向く。

(J)

 

「アンダーリポート/ブルー」