トム・マクナブ Tom McNab
1933年スコットランド、グラスゴー生まれ。
自身、三段跳びの元記録保持者で、ミュンヘン、モントリオール五輪ではイギリス陸上チームのコーチをつとめたほか、アカデミー賞作品賞をとった映画『炎のランナー』にも技術指導顧問として制作に関与している。本書が小説第一作で、ほかに、『早い男に賭けろ』が邦訳されている。

訳者
飯島 宏 (いいじま ひろし)
1940(昭和15)年、東京生まれ。
東京教育大学文学部卒業。
英米文学翻訳家。
訳書に、トム・マクナブ『早い男に賭けろ』、ジョン・ギルストラップ『雪原決死行』、ジョン・J・ナンス『ブラックアウト』などがある。

ロサンジェルスからニューヨークまでの5000キロのアメリカ大陸横断マラソンには、莫大な賞金がかかっていた。
3か月間5000キロをただ走るマラソン競技だ。
世界61か国から続々とランナーが集まる。
総勢200名で、女性のランナーは121名。
参加料は一人200ドル。
一等の賞金は15万ドル、二等が5万ドルで、以下100位までが200ドルで、総額で36万ドルだ。
主催者はフラナガン氏で、全行程に、医者やマッサージ氏なども付き添う。

百戦錬磨のドク・コール、誇り高きイギリス貴族ピーター・サーレイ卿、元地下ボクシングの選手だったマイク・モーガン、ホアン・マルチネスはメキシコの貧しい村のために走るメキシコ人で、最後までただ一人残ることになる元ダンサーのケイト・シェリダン、そして短距離で鍛えたヒュー・マクフェイルなどだ。
マクフェイルは冬のグラスゴーの凍てつく寒さとは全く違うアメリカで、賞金を得るために参加した。
報道関係者も含めての大所帯である。

アメリカ大陸横断マラソンは、ロサンジェルスをスタートする。
モハヴェ砂漠横断し、ラスベガス、シーダー・シティー、マクフィーへ、そしてロッキー山脈、デンバー、セントルイスを経る。

途中に様々な妨害に遭い、予定の資金がまわらなくなりそうになりながらも、彼らは走り続ける。
脱落者も数多く出るが、彼らの中には、走りながら長距離に耐える体を作り出すものもいた。
馬との競争や、アル・カポネとの対面や、ボクシングの決闘など、時折のアクシデントにもめげに、完走者数は862名。
内、女性はケイト・シェリダンで、200名内に残る快走だった。

『徹夜しても読みたくなる』そんな内容の本で、ハラハラとしながら先が気になる。
誰が一位になるのか、最後までわからないのが、また面白い。
そこまでしてなぜ走るのか。
走ることで得たものは何か。

上下2冊の長編小説で、かなりの読みごたえはある本でもある。
走りながら、人々の内側で何かが変わる。
ランナーだけでなく、報道関係者も、主催者のフラナガン氏もだ。
何が人を変えるのか、興味深く、面白くもあった。

(J)

 

「遥かなるセントラルパーク」 FLANAGAN’S RUN