松原 始 MATSUBARA HAJIME
1969年、奈良生まれ。
京都大学理学部卒業。
同大学理学研究科博士課程修了。
京都大学理学博士。
専門は動物行動学。
研究テーマはカラスの生態、行動と進化。
著書に『カラスの教科書』『カラスの補習授業』『カラスと京都』がある。

日常、何気なく聞いている鳥達の声や姿。
カラスやスズメは、人間にとって、身近な存在として生活の風景の中に居る。

また、人は世界の中から自分の見たいものを見て、印象に残ったものを記憶するという。
では、私たちは身近な生き物である鳥や動物をどんなふうに記憶しているのだろう。
カラスの研究者である筆者が、日常的に研究している様々な生き物に関する話題を、面白おかしく親しみを込めて書き記す。

日本に生息するカラスには、ハシボソカラスとハシブトカラスが代表的だそうだが、その生態はどんなものだろう。
なかなか区分けのしにくいハシボソカラスと、ハシブトカラスだが、ハシブトカラスは、求愛や威嚇を除くと、「カー」とも「アー」とも言うような鳴き声で鳴き、怒ったときは「ガララ!」とか、「ガー」と書けそうな声を出す。ハシボソカラスは、ハシブトカラスほど鳴かないそうだが、「ガー」と鳴き、怒ったときのハシブトカラスと違いがよく分からないようである。
食べ物は、おなじみのゴミ漁りから、動物の死肉食者(スカベンジャー)でもある。ハトを捉えることもあるが狩りはあまり上手ではないとか・・・。
鳥の羽は定期的に抜けて生え変わるようで、その時期のカラスはかなりみすぼらしくなるとか・・・。

世界の鳥類は少なくとも9000種。
日本にいる鳥はざっと600種。
植物は数え方にもよるそうだが、30万種近くで、昆虫は100万種。
未発見の種もまだあるだろう。
街中でも、結構いろいろな生き物が生息し、ふと目を向けると、『あれ、こんな生き物がいるんだ。』ということになるようだ。

筆者は、京都近辺の川原でチドリの巣を探し、ときに大蛇を捉まえ、猫王様となずけた猫のご機嫌をうかがいながら、机の上に現われた蜘蛛に挨拶する。
温かく溢れる出るような筆者の生き物への愛情を感じながら、心地よい読書をした。

(J)

「カラス屋の双眼鏡」