梶本 修身 Kajimoto Osami
医学博士。
大阪市立大学院疲労医学講座特任教授。
東京疲労・睡眠クリニック院長。
1962年生まれ。
大阪大学大学院医学研究科修了。
2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。
ニンテンドーDs『アタマスキャン』をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。
著書に『間違いだらけの疲労の常識 だから あなたは疲れている!』『最新医学でスッキリ!「体の疲れ」が消える本』他。

とかく、疲れることの多い現代社会だ。
その疲労の多い毎日に、脳科学がひとつの答えを出した。

疲労回復物質の存在が明らかになって以来、疲労に関する科学的調査は進んでいる。
日常的に「体が疲れている」とは、「脳の疲れ」にほかならないことがわかったという。
また、本書には、疲労のメカニズムや、有効な疲労対策、疲労解消の実践術が書かれている。

いままで、疲労物質=乳酸だと思っていた人にはちょっと衝撃的だが、それはウソだと書かれている。
栄養ドリンクや運動は疲れに効くというのも嘘だという。
疲労回復のために、仕事帰りにフィットネスは、反対に疲れを溜め込み、長期化させる場合もあるという。

乳酸は酸の一種で、筋肉中で濃度が高くなると筋肉が酸性に傾き、食事で得た栄養素をエネルギーに変える酵素の働きを悪くする。
すると、筋肉がエネルギー不足に陥って疲労が起こり、乳酸が脳にそれを伝えるシグナルとなって疲労感が自覚される。
カエルの実験の検証で、ラットやマウス、ウマなどの実験で「乳酸を投与しても、何ごともなかったように運動し続ける」という結果が次々と報告されて、「乳酸の溜まった筋肉ではパフォーマンスは低下するものの、乳酸がパフォーマンスの低下をもたらすという証拠にはならない」と結論づけられた。
では何が疲れの原因となるのか。
それは脳内で神経細胞を攻撃している「活性酸素」だという。
活性酸素とは、「呼吸で取りいれた酸素が体内で変化して、ほかの物質を酸化させる力が強くなった酸素の総称」だという。
具体的には、「スーパーオキシド」「ヒドロキシルラジカル」「過酸化水素」「一重項酸素」の4種である。

また、疲労すると、その疲労回復を促す疲労回復因子FRがある。
加齢によって修復される疲労因子FRに変化はあるが、働きが鈍っていると、修復されない細胞が残ることになり、蓄積されて体にダメージを与えるという。
日光の当たり過ぎに注意すること。
睡眠中のいびきは、自律神経を睡眠中に酷使することになるし、質の良い睡眠や不眠対策をとること。
食べ物では、ビタミンCやBCAA(分岐鎖アミノ酸)に疲労を軽減するという説があるがエビデンスはないという。
疲労回復因子を多く含む鳥の胸肉やクエン酸を含むものを食べること。
お酒は飲みすぎると活性酸素が発生するもとになるになるし、いわゆる寝酒は、脳と体にとっては非常に危険性の高いものだという。

「ゆらぎ」のある生活を心がけ、「緑青の香り」を嗅ぎ、自宅でゆっくりとくつろぐことや、脳が疲労に対処する力を付けるために、ワーキングメモリーを鍛えることなどが書かれている。
ばたばたせずに、必要と感じたら休憩・休息し、自然を満喫することが、疲労回復の基本かな・・・。

(J)

 

 

「すべての疲労は脳が原因」