森 絵都(もり・えと)
1968年東京生まれ。
早稲田大学卒業。
90年『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
同作品で第2回椋鳩十児童文学賞を受賞。
『宇宙のみなしご』で第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で第20回路傍の石文学賞を、『つきのふね』で哉36回野間児童文芸賞を、『カラフル』で第46回産経児童出版文化賞を受賞。
『DIVE!』(全4巻)で第52回小学館児童出版文化賞を受賞。
2006年『風で舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞する。

死んだはずのぼくの魂が、ゆるゆるとどこか暗いところへ流されていると、いきなり見ず知らずの天使が行く手をさえぎって、「おめでとうございます、抽選が当たりました!」と、まさしく天使の笑顔を作った。
天使の言い分は、こうだった。
「あなたは大きなあやまりを犯して死んだ、罪な魂です。
通常ならばここで失格、ということのなり、輪廻のサイクルから外されることになります。
つまり、もう二度と生まれ変わることができない。
しかし、そんな殺生な、という声も高いことから、うちのボスがときどき抽選で当たった魂にだけ再挑戦のチャンスを与えているのです。
あなたは見事その抽選に当たったラッキー・ソウルです!」突然そんなことを言われても、こまる。
もしぼくに目があったら丸くしてただろうし、口があったらぽかんと開いたりもしただろう。
でもぼくの無形の魂にすぎず、なぜ天使の姿や声がわかるのかふしぎなくらいだった。
本文 抜粋

前世の記憶を失くして、自分が誰かも分からない僕は、
天使の抽選を断わったが、どうしようもなく再び現世での再挑戦をすることになる。

天使の名前はプラプラ。
役割はガイドで僕の担当らしい。
再挑戦の地に導き「ホームステー」する僕に困ったときにはプラプラが助けてくれるらしい。
前世で大きな過ちを犯した魂を持つ僕は、修行が順調に進むと、ある時点で前世の記憶を取戻し、自分の過ちを自覚したその瞬間にホームステイは終了。
借りていた人間の体を離れて昇天し、ぶじ輪廻のサイクルに復帰することになるらしい。

ぼくは下界で受け継いだ体は、小林真くんといい、三日前に服薬自殺を図った、中三の半年後に受験を控えた少年だった。

真になったぼくは、真の両親や兄の満と出会う。
そして、真君の家族と暮らすようになる。
真君は背が低く、暗い性格で、ともだちが居ない。
絵を描くことが好きな真になったぼくも絵を描くことに夢中になる。

プラプラからの話によると、自殺の数日前に美人じゃないのにつやっぽい 〝初恋の人”ひろかに惹かれていた真君は、ひろかが中年のおやじとホテルに入るのを真は塾の帰りに見たらしい。

ショックなことはそれだけではなく、あの優しそうな主婦で気配り上手な母親がフラメンコ講師とホテルから肩を寄せ合って出てくるのを目撃する。

真になったぼくは、真に変わって言いたいことを言い、やりたいことをする。

嫌味な兄は無視をし、おこずかいを叩いて買いたいスニーカーも買う。
『本音の自分』『真君の本音』とは…。

母親からの手紙や、真君の父親からの話。
あの嫌味な兄でさえ少しずつ変わっていく。

ぼくは真の気持ちを考え行動する。
家族や友だちの欠点や美点が見えてくる。

家族や友達との関係は…?
そうして本当のぼくの犯したおおきな過ちとは何か?
ぼくのホームステーが終わる時間が迫る。
ぼくは誰??
ぼくの犯した過ちとは何??

いっきに読む。
いっきに読ませる本だった。
簡単な文章だが読む内容はなかなかのものだ。

真になったぼくは、真じゃないから距離をおいて必死にそして真剣に考える。
いろいろなことに涙を流し、怒り、喜ぶ。
本を読みながら、生きることって素晴らしいって考えていた。

(J)

「カラフル」